第2話 ページ3
Aと野間はグラウンドに出て、スタッフと一緒に練習の準備を進めた。準備もそれなりに終わって、軽めのストレッチをしてから二人は自主練を始めた。Aはこれを期に少しはコンプレックスの人見知りが直せればと思いながら、投げ出されるボールを打ち続けていた。
何球か打ち終わった後に野間と交代してボールを拾っている時、野間がハッとしたような顔をしながらAの方を見た。Aは何を言われるのかと思いながら見ていると、野間はそういえば、と言って口を開いた。
野「雨水って人見知りするやろ」
『え、あ、まぁ・・・するっちゃしますけど(急に何言い出すのかと思ったら・・・)』
野「それ直しとったほうがええで。色々と苦労するやろ」
『俺もそう思ってますけど、どうやっていけば・・・』
野「んー・・・なら、俺が手伝うたるで。同期入団の好やし」
『え・・・ぁ、ありがとうございます』
Aはそう言って微笑み返した。親しくなるにはまず笑顔からだろうと思って、野間にその顔を見せた。
すると、野間は目を見開いて固まり、手からボールが落ちてコロコロと転がっていった。Aはそのままの野間を不思議に思って眉間にしわを寄せて大丈夫ですか、と心配の声をかけた。野間はまたハッとした顔をして、手で口元を隠しながらなんでもねぇよ、と言った。
二人が自主練を終わらせてから少し経った時、続々と他のメンバーもグラウンドに出始めてきた。Aはやはり人見知りが出て上手く他のメンバーと話すのが難しかった。どんな風に声をかければいいのか、どんな態度でいけばいいのか。Aは頭の中でそれが渦を巻いていた。
『(それに、俺みたいな育成が親しくできっかな・・・)』
「なぁ、アメ!」
『へ・・・お、俺のことですか?鈴木さん』
鈴「そうだよ。雨って漢字が入ってんのお前だけだろ?」
『そうですけど、アメって・・・』
野「雨水って呼びにくいんやって」
『野間さん。それならそれでいいですけど』
鈴「んじゃこれからはアメって呼ぶな!後、俺の事は誠也でいいからな!」
鈴木はそう言って他のメンバーの所に行った。Aは風の如く過ぎていった鈴木に戸惑いながらも少しは他のメンバーとも話せれた事が嬉しかった。人見知りは自分から直していくものだな、とAは思いながらウォーミングアップに入った。
『(少しは、頑張ってみようかな・・・)』
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名無し54724号(プロフ) - めちゃめちゃ応援してます!頑張ってください! (2020年7月14日 22時) (レス) id: f71c8c4988 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - ご指摘ありがとうございます。すぐに直させていただきました。 (2020年5月27日 17時) (レス) id: d4d73ca949 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちぃ | 作成日時:2020年4月30日 0時