パリコレ捨ててアイドル目指しました。II (ページ17)

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ﾛｸｼﾞｭｳﾛｸページ17

JMｻｲﾄﾞ

バンの中でAちゃんはずっと静かに眠っていた。

呼吸の音も聞こえない程に静かで

この世で生まれたとは思えない程美しくて

僕達は誰一人言葉一つも発さずに見つめていた。

これは恋愛感情ではない。

おそらく。

Aちゃんは僕達を惹きつける美しさで

それも憧れだったり、そんな感じの方。

Aちゃんなら今の僕に救済の手を伸ばしてくれそうな、

そんな感じがするような美しさ。

神聖な感じ。

だから、心配なのもあるけれど、眠ってる姿を見れたことが更に人間離れした美しさを際立たせていて…

それでもやっぱり目の開いたAちゃんの方が魅力的だな…

JHｻｲﾄﾞ

ホテルについて取り敢えず会議室を借りて集まった。

いつもは明るい僕でも今日は心の中がしとしとと雨が降っている。

RM「じゃあ…ジンヒョン、

何があったか聞いてもいいですか？」

JN「うん、」

ジンニムが出来事を全て事細かに話した。

内容からちらりと伺えるAちゃんの今までの生活にも、

親からの異常なまでな執着心にも、

僕達は言葉を失った。

テテが静かに涙を流した。

こんな時に思うことじゃないんだろうけど、

テテとAは非公開練習生なこと、

人間味を感じさせないような崇拝される美しさ、

独特な歌声、パフォーマンス

色々と不安定なところ。

たくさん似ているところがある。

お似合いだと思うんだけどな…

SGｻｲﾄﾞ

今まであまり聞いて欲しくないような素振りをしていただけあって、俺達は敢えて過去をAに話させようとは思わなかった。

いつか、

ぽろりと言葉にできて、

いい思い出だと話してくれるのを待とうと、自然に考えていたのかもしれない。

ただ、聞いた話によるAの母の

異常な体型管理。

金を稼がせる為にたくさん貢ぐ所。

なのに、愛しているだの、貴方の為だの、私一人では何もできないだの、

飴と鞭だ。

AとAの母はお互いに執着していた。

そして今も尚。

Aがアイドルになる為には乗り越えなくてはならない壁だ。

協力は惜しまないつもりだが、

最後に振り切るのはAにしかできない。

だから、目を開けること自体を諦めないでほしい。

夜の世界だけに浸らずに、

nocturne…今のお前は夜に心を寄り添えているのか…？

眠っている中も嵐なんだろう。

早く目覚めて自分の求める音楽を一緒に作ろう…