ﾖﾝｼﾞｭｳﾆ ページ42
＊軽いグロテスク表現があります。
無理な方は「主人公を治療した時の夢」だけ覚えていただければ結構です。
夢を見た。
真っ白な空間で私は立っている。
虫の飛ぶ音が耳の中で反響する。
気味が悪くて耳を塞ごうと両手を__
動かない。
まるで金縛りに遭ったかのように、
全身が直立状態で硬直している。
呼吸が荒くなる。
音も大きくなる。
腹辺りからもぞもぞとした感触がした。
視線のみで下を見る。
拳程の大きさをしたハエらしき集団が私の腹の中に侵入して行った。
目を背けようと右に視線を移すと
腕にもたくさんのハエがまとわりついて、
どぷんどぷんと私の皮膚に体をねじ曲げて入っていった。
おそらく左腕からも背中からも足からも入っていっているのだろう。
この羽ばたく音が鳴り止まない耳や
軽く半開きな口の中からも。
体内が暴れているような感覚がする。
徐々に体が内側から膨張する感覚。
おそるおそる腕を見ると、
ハエがどこにいるかわかるほど皮膚がぶつぶつとしていた。
ぶつぶつの一つが軽く震える。
すると隣に新しい突起物が増えた。
成る程、私の体であのハエが増殖しているのか。
赤くて大きな目に薄黄の肢体。軽く湿った翅。
顔を傾げて私を見て、手足を擦る様子、卵を私の中に産みつけている様子が頭の中でくっきりと浮かぶ。
耐え難くて悲鳴を上げようと息を大きく吸い、
声を出そうと喉を振るわせた。
が、出てきたのは声ではなくハエが数匹。
私によって外に放り出された血塗れのハエが私を見つめた瞬間視界が暗くなる。
カチカチと眼球に脚が当たる感覚がし、
小さな球体が植え付けられているのがわかる。
そのまま、私の体は蝕まれて
苦痛で顔が歪んだ。
歪んだ？
夢から醒めたのだろうか。
ぼんやりと視界が鮮明になる。
小さくため息をついた。
夢のせいかそろそろ寒い時期に入る頃なのに体は汗でびっしょりだった。
診察室から…眠らされたので、おそらく病室にいるのだろう。
そして、まだ残っている卵を産み付けられる感覚は、きっと周りにぶら下がっている点滴だろう。
看護師「Aさん！こんにちは、体の調子はいかがですか？」
「キムテヒョン…」
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作者名：炭水化物天国 | 作成日時：2019年11月13日 21時
