ｻﾝｼﾞｭｳｺﾞ ページ35
無機質な音が聞こえる
目を開けると視界が眩しくて思わず顔を歪める。
体を起こそうと力を入れるが身動きが取れない。
もどかしくて腕に目を向けると透明な管がいくつか体に繋がれていた。
独特のアルコール臭が鼻腔をつつく。
頭が冴えてきたからわかるが、
どうやら私は倒れて病院に連れて行かれたようだ。
カーテン越しに伝わる明るい日差しからここで最低でも一晩経ったことがわかる。
そして、この管が栄養分を送るためのものだとも。
『これ以上太りたくないのに』
チューブを一気に抜き取り隣の椅子に置いてあった荷物を取ってそろりと病室から抜け出す。
幸い廊下に人はおらず、念を入れて人の少なそうな非常階段へと向かう。
私の今の服は入院着だからきっと外に出たら目立つだろう。
早く大通りへ出てタクシーを捕まえて事務所に戻らなくては。
だが、歩くだけでも一苦労で、タクシーの中に座り込めた直後に雪崩れ込むように疲労が全身へ回った。
運転手「どちらまで？」
「Big Hit Entertainmentまでお願いします」
運転手「了解しました」
今頃病院は慌てているだろうか。
いざとなれば健康上ひとつも問題が無かったのと練習がしたかったと必死になって伝えれば大丈夫だろう。
そのまま流れる風景をぼんやり眺めていたら到着した。
料金を払って、裏口から練習室へと向かった。
？「あれ？Aちゃん？」
「はい、こんにちは。テテさん」
TH「何してんの？？？？！！！！！」
TH「倒れたのに勝手に戻ってきちゃダメだろ！！！！！！」
TH「ほら、早く戻ろう」
テテさんが私の腕を乱雑に掴み上げて、廊下を通り抜けて玄関へとずんずん進む。
「なんで私が倒れたことをご存知なのですか？」
ふと、テテさんは立ち止まった。
TH「もしかして覚えてない？昨晩のこと」
TH「Aちゃんパニック起こしてたから僕が病院へ連れて行ったんだよ
昨日はね___」
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作者名：炭水化物天国 | 作成日時：2019年11月13日 21時
