パリコレ捨ててアイドル目指しました (ページ14)

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ｼﾞｭｳﾖﾝページ14

最初は母のためだったが

最近は何も考えずに仕事をしていた所為なのか、

私が正しい知識を身につけないとTXTさんに迷惑をかけてしまうと考えたこの気持ちが

むずがゆくて正直気味が悪かった

不安定な精神を封じるように黙々と伝手のメンズモデルにウォーキングとポージング等の基礎から応用まで問い詰めて、一語一句頭に叩き込む。

事務所内を彷徨いてスタッフに声をかけて借りた小さな練習室でひたすら反復する。

顎を軽く引き、目線は15m先。
胸は斜め上にそらし、頭を糸で吊られているように。
肘の曲げる角度は少し外側、強すぎない手の動き。
足取りは大きくゆったりと。
膝は振り子のようにしっかり前に出す。
一歩一歩逆Yの字を意識して鏡と睨み合う。

汗で濡れた床を滑った時に集中が途切れた。
既に窓の外は瑠璃色がかっていた。

持参した古いタオルで床の水気を取り、新しいタオルを首にかけ、額の汗を拭う。
一息つくために自販機でミネラルウォーターを買った。思ったよりも冷たくて震えた。

もう一口飲もうとした時ふと、思い出した。

PDさんもTXTさんも先輩方のグループと口にしていたが誰なんだろうか。

休憩のついでに「Big Hit アイドル」と検索してみた。

「BTS」

「방탄소년단」

「防彈少年團」

TXTさん以外で出てきたのはやけに硬派なグループ名だった。

恐る恐る画像検索をする。

思ったよりも煌びやかで頭がこんがらがった。

七人いるらしいメンバーの中の

なぜか一人から目が離せなかった。

頭の片隅でサイレンが鳴り止まなかった。