お兄ちゃん ページ4
*
『行ってきまーす……』
母「あら、随分早いのね」
『大会ちかいからねー…めんど…』
「頑張れ」
『お兄ちゃんも朝練でしょ。早く行きなよ』
「えー…」
『“えー…”って、バレー部に入部したのはお兄ちゃんでしょ。
じゃあ、もういくから。』
そういって、私はリュックを背負い走っていく。
通学路は坂道が多いからトレーニングにもなるしね。
学校につくと私はさっさと着替える。
時刻は6:30。今日も一番乗りだ。
ゴーグルをつけ、キャップを被る。
水に飛び込めば、もうそこは違う世界。
『…っはぁ………っはぁ………』
泳いでるときは楽しい。
女子は夏の水泳の授業を嫌がるけど、私には理解できない。
泳いでるときは何者にもとらわれず、
自由になれる気がする。
タンッ
『……はぁ…はぁ…はぁ…』
「さすがだな、国見。前よりもフォームが安定してきてる。」
『…っ!!部長…いつからいたんですか…』
「あぁ!驚かしちまってわりぃな。
俺は今来たところだ。それにしても朝から早いな国見。」
部長は白い歯をみせてニカッっと笑ってみせた。
水泳部の部長、春嶋尚也先輩は
容姿端麗
成績優秀
運動神経抜群
の3拍子が揃った人だ。
おまけに性格もいい。
そんな人だから、女子の新入部員も多いんだけど……
「だがな、少し力任せに泳ぎすぎだ。もう少しラクに泳げ。あと、お前はフォームを気にしすぎて足が疎かになる。筋トレが足りてない証拠だ。それと…」
水泳のこととなると、部長は口うるさい。
それに女子は幻滅して、退部していく。
「…あっ、そうだ国見」
『…………っはい』
先輩の話を聞いてなかったため少し反応が遅れた。
「今度の日曜、部活OFFだろ?空いてるか?」
『………はい?』
*
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作者名:ふとん。 | 作成日時:2018年9月4日 22時