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ナイフが私の顔に向かって一直線に進んできた時、扉の方からギギギと金属が擦れ合う音が聞こえた。





「…スニョン」

「やだなあ、そんな怖い顔して。久しぶりですね、ヒョン」




スンチョルさん。



スンチョルさんだ。




「Aを返せ」

「返せって…元からヒョンのものじゃないのに」

「スニョンのものでもないだろ?」





張り詰めた空気が狭い空間を襲って、ピリピリと痛い。



今の私は服も着てないし、髪はボサボサ。涙のせいで顔はぐちゃぐちゃ。

あんなに会いたいと思っていたスンチョルさんとの再会が、まさかこんな姿だなんて最悪だ。



でも、


スンチョルさんが助けに来てくれて嬉しい。





「身体は、もう俺のものにしましたから」

「………お前、」

「一歩遅かったですね、ヒョン」




スンチョルさんは慌てることもなく、静かにスニョンを見つめる。




スニョンは平然とナイフをスンチョルさんに向けた。




「俺をここで殺しても、Aの心はお前になびかないと思う」

「……は?」

「いい加減気付けよ、スニョン。自分のしてる事の重大さに。浅はかな行動の馬鹿さ加減に」





スニョンの大きな舌打ちに、身体中に緊張が走ってゾワゾワと嫌な予感が駆け巡る。




すごく、寒い。




「……何で、ヒョンにそんな偉そうに説教されなきゃいけないんだよ。急に間に入ってきて、俺のAを奪おうとしたくせに」




スニョンはもう理性を完全に失っている。

狂ったスニョンがスンチョルさんを刺してしまうのは時間の問題。




その時、スニョンと目が合った。


スニョンはニコリと笑って、こちらへ近づいて来る。





.




「A、お前がヒョンを殺れ」




私の拘束を解き、手にナイフを握らせながらスニョンは言った。



驚いて言葉を失う私を見て、さらに続ける。




「出来ないなら俺がヒョンを殺して、その後にお前が外に出ようなんて考えないように、傷をつけ続ける」




微笑んだスニョンは私の背中をドンと押して、スンチョルさんに近づけた。



目の前には、悲しそうに顔を歪めるスンチョルさん。




「…A?」

「ご、めんな、さい…っ」




ナイフを持つ手がガクガクと震える。


スンチョルさんを殺すなんて、私には出来ない。





そもそも、こんな事になったのも原因は全て私にある。


それなら、




「……………私が、スンチョルさんの代わりに死にます」

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(プロフ) - 読者の皆様、お久しぶりです。作者のもこです。紺として、これからまた作品を作ることにしました。是非応援して頂けると嬉しいです。 (2018年10月23日 0時) (レス) id: e4c78790cf (このIDを非表示/違反報告)
どんちゃん(プロフ) - はじめまして!いつも楽しく拝見させて頂きました本当に素敵な作品で私のお気に入りです!是非また他の作品もお目にかかれたらと思っています! (2017年7月20日 19時) (レス) id: f12e5d04e8 (このIDを非表示/違反報告)
あいちょ(プロフ) - こんにちは!完結おめでとうございます!いつも楽しく読まさせて頂きました。できましたらもこさんのペースで構いませんので新しい作品でお目にかかれたら幸いです^^ (2017年7月20日 17時) (レス) id: 48cd9df166 (このIDを非表示/違反報告)
さき - おもしろいです!とても続きが気になります(*_*)更新頑張って下さい!!応援してますー!! (2017年4月22日 13時) (レス) id: c8fb690801 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーなっつ(プロフ) - 気になります…( ; ; )!!!何が起こるの?!更新頑張ってください!応援してます(^^) (2017年4月13日 20時) (レス) id: 0cbaad8bca (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこ | 作成日時:2017年1月4日 20時

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