ファースト・ラブ (ページ22)

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彼とはクランクアップ後は大阪と東京の遠距離だった。それは付き合う前から分かりきってた事で特に悲しむこともなかった。毎日LINEをし、たまに電話する。お互いが仕事で街に来る時は会ってデートする。ごく普通のカップルと何ら変わらなかった。

前回は1LDK家具付、家賃なし(事務所持ち)だったが、今回は違う。1K家具なし、家賃10万円だ。家具は事前に彼と決めた物をネットショッピングし、彼が殆ど組み立てといてくれたからほぼ家具付。
彼と一緒にキャリーバッグの中身をしまい、東京から送ったダンボール一個分も無事片付けられて、部屋らしい部屋が出来た。

「俺、毎日ここから舞台行ってええんやな？」

彼は私の前だと一人称が俺になる。普段は女の子と間違えられるぐらい可愛いのに私の前では男の子になる。それが私の恋心をくすぐる。

「いいんじゃない？」

「誘いとか断って秒で帰ってくるな」

同棲すると毎日これなのかと思うとにやけてくる。

「何にやけてんの？」

顔を覗き込んでくる。

「うるさい」

ニヤけてるのを見られたくなくて顔を隠す。だけど、隠せば隠すほど覗き込んでくる。目が合い、長い沈黙の後、彼の顔が近づいてくる。

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