ファースト・ラブ (ページ17)

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平常心を保ったふりをして、読み合わせをしたけど噛んだり、裏返ったりして、いつもの本城Aが出せない。なんで出せないかなんてわかってる。

「Aちゃん、大丈夫？」

「ごめんね、」と謝ることしか出来なくて、、。

これを撮り終わると彼はクランクアップし、もう会えなくなる。それがわかっているから読み合わせの時点で辛くて悲しくて。

泣きそうな気持ちを大吾くんは読みとってくれて自身の話を始めた。

オーディションでこの役を勝ち取ったこと、本城Aが双子と妹を演じる不思議さ、演技の練習しても出演してる人達には足下にも及ばないと知った時の悔しさ、それは本城Aも思ってたという親近感。

「あの、本城Aですらそれを感じるんだって思ったんや。」
「それで、Aちゃんは、女優やなくて、ひとりの人間なんやと思って」

私もそれは同じだった。初めはジャニーズの西畑大吾というフィルターがかかっていたが関わるにつれ、彼はアイドルじゃなくて、ごく普通の男の子なんだと思っていた。だからこそ、アイドルの彼を好きになったのでなく、演技や色んなことに真剣に取り組む西畑大吾を好きになったんだ。

「それからは、早かったんや」

「何が早かったの、、？」

ソファーに隣り合わせで座っていたのが大吾くんがこちらを向き、わたしもつられるように向き、向かい合わせになり、大吾くんが私の手を握る。

脈がどんどん早くなり、心臓の音が大きくなる。

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「Aちゃんのこと好きになるの」

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