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「そういやさ、まだ俺の名前、言ってなかったよね」
「重岡さん、ですよね。」
「下の名前は知らんやろ笑」
「知らないです、笑」
「…重岡大毅、大毅って呼んでええよ」
「いや、それは厳しいです笑 先輩なんで、」
「じゃあせめてくん付けにして敬語外してや。1歳しか変わらんのやで？」
ちょうど電車がきて私たちは乗り込む。
18時過ぎだというのに最後尾の車両は人が少ない。
さすがの田舎だ。
「…わかった、わたしはAA ○○高校の3年生」
「ほぉーんA…ね。」
予告もない突如の呼び捨てに少し胸が締め付けられる。
「そういやさA、さっきスマホケースちらって見えて思い出してんけど1か月前くらい電車にスマホ忘れてなかった？」
「…え、よく覚えてたね？笑」
「…いや、さ、おれ終点まで着いていつものように忘れ物チェックとか今日のAみたいに眠っちゃってる人を起こす仕事が最後にあるんやけどさ、笑」
とわたしをバカにするような薄笑いを浮かべた顔でこちらをみてくる
「…やめてよ、恥ずかしい笑」
「いや、いつもの事だからええけど。笑
その日も同じようにその作業してたら椅子の上にぽつんって携帯が置かれてて手に取ってみたらめちゃくちゃ綺麗なスマホケースやったんよ」
そんなことを言われて自分のスマホを取り出してみる。
「…そうそう！そのスマホケース。赤い薔薇、めちゃくちゃ綺麗やない？」
このスマホケースはいつか家族旅行に行った時に京都でみつけ一目惚れをして少し値段は張るが親に頼み込んで買ってもらったスマホケースだ。
すごく気に入っているスマホケースで何年も使っている。
「…えぇ、そんなこと言われたの初めて。」
「えぇまじ？おれそんな綺麗なスマホケース初めて見たもん笑」
とたわいもない会話を続けているとあっという間に私たちの最寄りの駅に着いた。
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作者名：梨 結 | 作成日時：2022年9月22日 18時
