黄色い線の内側までお下がりください＿【赤】 (ページ11)

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「家、どっち？」

改札にICカードをタッチしたとき、後ろにいる重岡くんにそんな事を聞かれる

「あー北口方面。」

「おーじゃあ送ってくわ」

「あーそれはありがたいんだけど私いま塾にいるはずだから帰ると怒られるんだよね、」

「あ、そっか。ならコンビニでも行く？」

と重岡くんが駅前のコンビニを指さしながら言う。

「んーそうしよっかな」

とくにすることもなかったのでその提案に乗ってみる。

「じゃー今日は俺のおごりや。テストお疲れ様の会やで」

「え？なんでテストあったって知ってるの？」

「んー？だって電車の中でもホームでもりゆの高校の制服着てる子らが英単語帳やらノートやら広げててさ"俺らも新学期早々からテストあったなー"なんて懐かしくなっちゃって。」

…そうだ。この人は駅員さんなんだ。

それが顔に出てたのか、

「…今俺のこと駅員だって忘れてたやろ、笑」

「…ばれた？」

と言うと重岡くんは俺そんなに駅員っぽくないのかな〜なんて手を頭の後ろで組んでコンビニの方へ歩き出す。

「いや重岡くん話しやすいから友達だーって思っちゃうんだよ」

「うぇ？まじ？やったぁ」

コンビニの窓から漏れる明かりが2人を照らしていた。