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完成しないパズルの答え(拓実) ページ5

愛も心も、目には見えない。





第六感だけを頼りに人は恋をする。









「お風呂まだなん?はよ入ってきて」
『さっき帰ってきて動く気力もないんだよ〜 … 』
「せやからって、風呂入っとらんままソファに寝転がるんやめて」



『拓実、帰り遅くなるなら連絡してって言ってるんじゃん』
「タイミングなかったんやって」



「なあ、来週の休みどこ行く?」
『うーん … あ、海は?』
「海?焼けるやん、せめてプールにしようや」
『去年もそう言って拓実の意見でプール行ったじゃん』
「そうやっけ」
『そうだよ、だから今年こそ海!絶対!』









何をするにも 上手く噛み合わない私達はそんな第六感に手繰り寄せられて恋人になった。






拓実のどこが好きなのだろう。









自分のテリトリーやルールはきっちり守り、それを乱されると不機嫌になってしまう拓実。


そのくせ人を振り回すことにはあまり反省の色を見せない彼に、ふと「どうして好きになったんだっけ」と考えることがある。









性格が、まるで種類の違うパズルピースのようにガタガタで噛み合わない、ハマらない。









「海は嫌や、やっぱりプールがいい」
『 … もう。仕方ないなあ。』
「その後さ、Aがずっと行きたがってた所行こう」
『あー、新しくできたスイーツのお店?』
「ん、そこ。」




満足そうな拓実と、どこか納得のいかない私の間に 完全にテンションの差が生まれる。







「機嫌なおしてや、そんなに海行きたかったん?」
『いや、別にもう海はいいんだけどさ』
「うん」


『なんか、こんなに性格合わないのによく一緒にいるなあって』
「え、嫌いになったん?」
『あ、そういうことじゃなくて』




私の言葉に、明らかに動揺した拓実の目は子猫のようにウルウルしていた。






「なあ、嫌い?」
『そういうことじゃないよ』
「じゃあなんでそんなこと言うん」


『全然意見合わないし、私って頑固だし。』
「それはお互い様やん」
『あ、自覚あるんだ』





首元に擦り寄る髪の毛がくすぐったい。



甘え上手な拓実と、甘えられがちな私。





これもまた、性格が合わないゆえうまく取れたバランスなのかもしれない。







「合わんくても、好きなのは同じやん」
『同じじゃないよ、私のほうが好きが大きいもん』
「あー、そういうとこ好き」





俺のほうが好きやで と反論されるのは言うまでもない。



えへへと笑う、花のような笑顔が好きだ。

カフェインにキスして(奨)→←来る朝を睨んで(碧海)



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作者名:ヨカ | 作成日時:2021年8月22日 22時

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