生きる恋を、大きくなる愛を【短編集】 (ページ4)

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来る朝を睨んで(碧海) ページ4

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もう街が動き出した休日の昼前に目が覚める。

碧海のために一生懸命に選んだ素敵な服も、肌の上を飾っていたラグジュアリーも床の上にはただの布として脱ぎ捨てられていた。

そっと拾って、腕を通す。

ベッドの上ですやすやと眠る彼を見た。

赤ちゃんのような柔らかい表情で眠る碧海。

そんな顔に似合わない、広い肩幅と分厚い胸板。

肌と肌が触れ合う夜、そんな彼の身体にしがみついている時間だけが

愛されていると実感できた。

『 … もう、けじめつけなきゃな。』

いつからか友達でもなければ恋人でもない、ただ曖昧な関係になってしまった私達。

好きだった、誰よりも。

一見怖そうに見えるそのルックスも、仲良くなれば全てが少年そのものだった。

笑う顔も、拗ねる顔も、全てが愛おしくて、ずっとずっと抱きしめていたいと思えた。

一度この関係に辿り着いてしまった私達は、二度と恋人として手を繋いで歩くことはできない。

そんな気がした。

『好きだよ、碧海。』

この気持ちは、私以外誰も知らない。

｢ん、 … A？｣
『ごめん、起こした？』
｢いや、なんとなく目ぇ覚めた｣

なんかAが俺のこと呼んだ気ぃした。

まだフル稼働するには時間がかかりそうな様子の碧海は、そう言って両手を広げた。

｢ほら、ん。｣
『なあに、どうしたの』
｢分かるやろ、ぎゅーして｣

『もう、朝から甘えたさんなの？』
｢Aが近くに居らんと寂しい｣

ほら、と急かす碧海。

けじめつけなきゃって、決心紛いなことをしたのはどこの誰だっけ。

そんな決心、つけれるもんならとっくにつけてる。

碧海の甘さにもう騙されないぞと頭の中では分かっていても、そんな甘さから離れられない私は馬鹿なんだろうな。

『すかい』
｢うん？｣
『好きだよ』
｢うん、俺も｣

ゆっくりと彼の身体に沈んだ私は目を瞑る。

私と碧海の好きは別物なんだろうな。

私が必死にしがみついているものは何なのだろう。

切れぬ愛なのか、弱い糸なのか。

あなたの身体なのか、あなたの心なのか。

私だけのあなたでいてよ。

こんな感情、いつか私にさえ忘れられて消えてしまえばいいのに。