生きる恋を、大きくなる愛を【短編集】 (ページ26)

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" 推 "してダメなら(祥生) ページ26

｢今日もかっこいいな～鶴房汐恩｣
｢わかる、寝癖ついてるけど｣
｢そんなところが可愛いんだよ｣

ケイコとリアンの目線の先には、鶴房くんの机を囲んでワイワイと話している鶴房くんを含む男子4人組。今日も仲良さそうだなあ、木全くんと金城くんが大きく口を開けて笑ってる。本当に楽しそう。

｢ねね、Aは推しいないの？｣
『え？推し … ？』
｢そう！私とリアンは鶴房が推しじゃん。でもAってそういう話しないからどうなんだろって｣

ケイコの言葉にドキッとする。まだかまだかと期待の眼差しを向ける2人に少々渋ってしまう。

『推しっていうか、その … 』
｢うんうん、ズバリ誰！｣
『お、大平くん、かなあ … 』

今にも消えそうな声で答える。ケイコとリアンは、目を丸くして｢え～意外！｣とはしゃぎ始めた。

『ちょっと！そんな騒がないでよ恥ずかしい … ！』
｢だってAが大平推しって超意外！接点あったっけ？｣
｢あ、でもこの前朝に挨拶してたの見たけど｣
｢え！？いつ？挨拶するような仲なの？｣

私よりも盛り上がる2人。とりあえず大平くん達に聞こえたらまずいからやめてほしい。

『少し前に先生から雑用任された時に一緒に荷物持ってくれて、そこからかなあ』
｢へえ、優しいとこあるねアイツ｣
｢そーいや大平って白岩先輩と仲良いって聞いたよ？イケメンとイケメンが仲良いってマジでありがたい｣
｢類は友を呼ぶってああいうのを言うんだね｣

2人の会話を聞きながらチラッと大平くんの方を見る。

『 … えっ』

思わず声を漏らす、心臓が大きく跳ねた。

合うわけがない視線が、合ったのだ。

その丸くてとろけるような瞳と視線が交わった途端、顔が熱くなる。

恥ずかしくてすぐに目を逸らした。

『な、なんで … 』
｢ん？A、どうかした？｣
『いやっ、なにも … ！』

｢Aさ、今度大平の連絡先聞いてみなよ｣
『え、なんで！？』
｢もしかしたら恋に発展するかもよ～｣
｢やだ～！ウチらのAが大平に取られちゃう！｣

ドギマギする私に気づくはずもないケイコとリアン。

もう、こっちの気も知らないで。

推しなんかじゃないよ、もうとっくに大平くんは気になる存在だよ。

なんて、2人にはまだ言えるはずもなくいつの間にか時間は過ぎ、授業が始まるチャイムが鳴った。