生きる恋を、大きくなる愛を【短編集】 (ページ11)

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アルコールにジェラシーを(景瑚) ページ11

｢ほどよく飲むのは全然いいよ、けど一人で立てなくて送ってもらうほど酔うのは違うよね｣
『 … ごめんなさい』

ソファの上に正座をして項を垂れる私の前に、呆れ顔の景瑚。

普段はへにゃっとした笑顔ばかり見てるからこんなに呆れられることは珍しい。

同期の純喜と瑠姫と久しぶりに飲みに行った。久しぶりで楽しくて、つい飲みすぎた。

帰る方向が同じだからと、純喜がタクシーを拾って家まで送ってくれたみたい。頭の中の記憶はふわふわしているので、断片的なシーンしか覚えていないけど。

ドアを開ければ眉間に皺を寄せた景瑚がいた。そこで、段々と意識がハッキリしてきて今に至る。

｢連絡しても返信来ないし、来たと思ったら純喜くんからだし。挙句こんなに酔っちゃって、ほんとバカ。｣
『言い返す言葉も見つかりません』
｢どんだけ心配したと思ってんの｣
『本当にすみませんでした』

景瑚だって飲みで帰り遅くなることあるじゃん。

という言葉は飲み込んだ。今言い返したところで、恐らく喧嘩になっちゃうから。

｢Aってなんでそんなに無防備なの。酔った自分がどれだけの破壊力持ってるのかもっと自覚しなよ｣
『うーんと、どういうこと』

｢アルコール入ると可愛さ倍増するんだから、そういうのは俺だけに見せてればいいってこと！はい！説教終わり！｣

お風呂入るよ！と私の手を引く景瑚。さっきまでぷんすか怒ってたくせに、急にデレるもんだからこっちも困る。

『景瑚、怒らないで聞いてほしいんだけど』
｢何？｣
『怒ってる理由、もしかして嫉妬？』
｢ … うるさい。｣

顔は見えないけど、真っ赤な耳が答えだと思う。

なんだか急に愛おしくなっちゃって、その背中にぎゅうっと抱きついた。

｢うわっなに、まだ酔ってる？｣
『酔ってないよ、もう酔いさめちゃった。ただ好きだなあって思って』
｢ああもう、そういうところ。｣

身体を向き直し、私を抱きしめる景瑚にすっぽりと収まる。シャツ越しに感じる引き締まった身体が居心地良い。

｢外であんなに酔っちゃダメ、いつ誰に襲われるか分かんない｣
『襲うって … そんな大袈裟な』
｢俺だったら可愛すぎて手出す自信あるもん。｣
『どんな自信よ』

私の首元に顔を埋めるものだから、喋るたびにくすぐったい。

ふわっと香る景瑚の香りが脳を溶かす。

アルコールより、一生あなたで酔いつぶれていたい。