カフェで逢いましょう5_final

#224 ページ38

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夢のような台詞が私の脳内でリピートされる。

マサくんと…、一緒に暮らせる？！！





窪「俺が車の中で話したこと…

将来のために暮らしやすい物件を探してるって話。

あれは、俺一人の将来じゃなくて、

Aちゃんを含んだ将来の話で」



『私…？』



窪「うん。もし一緒に暮らせないとしても

いつかの将来、必ず一緒に住めるような

広くて暮らしやすい物件を探そうって…

実は結構前から企んでた」





そう言って笑うマサくんが

恥ずかしそうに長い袖で顔を隠した。





窪「だからさっき、

Aちゃんが俺と一緒にいたいって

そう言ってくれて… 嬉しかった」



『どれくらい？』



窪「え？！！ えーっと…

ものすっっっ…！！！ っごい！(笑)」



『ふふっ、なにそれ(笑)』





からかうつもりなんて

これっぽっちもなかったのに

マサくんの本当に嬉しそうな顔を見てたら

幸せな気持ちが溢れてきて照れくさくなった。



でも東京に来たら…、今の湘南の店も

畳まないといけなくなる。



自分で築き上げてきた、大切なお店。

ずっと同じ湘南の景色の中で、

同じく変わることのなかった私の思い。



何かを得るには、何かが犠牲になることは

やむを得ないって分かってる。



きっと今は、人生の岐路だ。

今こそ私は、大きな1歩を踏み出すときなんだ。





窪「Aちゃん」



『…ん？』



窪「ミルク、ちょっと冷めちゃったけど

良かったらどうぞ」





マサくんが少し遠くにあったホットミルクを

私の元へと運んでくれた。



その厚めのマグカップを両手で包むと、

じんわり伝わってくる温もりが

まだ中のミルクが温かいことを知らせてくれる。



マサくんと並んでソファに座って

それを一口含むと、調度良い甘さが

喉の奥の方を通っていく。





窪「今…、湘南のお店のこと考えてた？」



『えっ？ 何で分かるの？！！』



窪「お見通し(笑)」





思わずミルクを吹き出しそうになって

慌てて二口目を飲み込んだ。



あぁ、また私の心の中が見透かされて…

スノードームの気分。





『あの店も、思い出いっぱいだから…』





まるで卒業式の前夜のような気分で

懐かしささえ込み上げてくる。



その本意を感じ取ったマサくんが

私に身を寄せて口を開いた。





窪「あの夏の日に…

あの海沿いにある あのカフェに出逢えたこと。

俺の人生の中で、特別な最大の美点で

最高の奇跡の出来事だった」





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