#215 ページ29
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パタン、と閉まった脱衣所の扉の向こうから
マサくんの優しい声が聞こえてくる。
窪「ごめんね？ お風呂が沸くまで
少し待たせちゃうけど、着替えたら
リビングのソファに座って待ってて？」
『いえ、私なら全然 大丈夫です…』
マサくんと扉を挟んで
脱衣所にぽつんと一人になった途端、
急に冷静と虚しさが心をかすめた。
マサくんに心配ばかりかけて…
私、何やってるんだろう？ 情けない。
窪「珈琲！飲むよね？ あったかな〜？
確か前に頂き物のやつが…」
キッチンへと向かったのか、
扉越しに聞こえていたマサくんの声が
足音と共にどんどん遠くなっていく。
ガタガタとキッチン周りを漁って
珈琲を探しているみたい…
そんなマサくんの優しさがもったいなくて
手の上に乗せられたスウェットを見つめ、
そっと洗濯機の上に乗せる。
なかなか着替えようという気が起きず
私は濡れたワンピースの裾を握った。
―――…
――――――……
《 お風呂が沸きました 》
機械的な声が脱衣所に響いて
はっ、と我に返る。
同時に、コンコンと扉がノックされて
「Aちゃん…？」と心配そうな声が
聞こえてきた。
あれ？ 私、どれくらいの間
ぼんやり考え込んでいたんだろう？
『ご…、ごめんなさい！！』
慌てて扉を開けた瞬間、マサくんが驚いたような、
不思議そうな顔で私の姿を見つめた。
あ… そうだ、せっかくの部屋着
悩んだ挙げ句 遠慮して着られなかったんだ。
どうすることも出来ずに
ただマサくんの目の前で立ち尽くしていると
ふわり、とその腕に抱きしめられた。
『マサくん… 私、その、ごめんなさい。
ぼんやりしてて着替えられなくて…
このままじゃマサくんまで濡れちゃいます』
窪「…」
何も言わず、マサくんはただ
私を抱きしめたまま。 それ以上に、
抱きしめる力がどんどん増していく。
『マサくん、ダメです！
服が濡れちゃいますって！』
私はマサくんの身体を押し戻すようにして
何とか濡れたワンピースが
マサくんに触れないように踏ん張る。
でもマサくんは一向に離そうとしない。
窪「俺に抱きしめられるの、…嫌？」
『えっ？！！！』
窪「俺のこと… そんなに嫌？」
抵抗し続けた私の動きを
見事にぴたりと止めたその言葉。
私は全力で首を左右に振って
『嫌なわけないです！』と返事をする。
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おじょう(プロフ) - こなすさん★ご無沙汰しています。お身体の調子は大丈夫でしょうか？久しぶりに逢いにきてしまいました(*^^*) (2019年5月22日 19時) (
レス) id: 1c4a6319b1 (このIDを非表示/違反報告)
まこ(プロフ) - はじめまして。一気に作品を読ませていただきました。とてもとても素敵な作品で心が温かくなりました。作者さんの人柄だったり経験だったりが前面に溢れ出る素敵な作品なのだろうなと思いました。この作品に出会えて本当に良かったです。ありがとうございました！ (2018年11月25日 23時) (レス) id: 7cdfb99ab3 (このIDを非表示/違反報告)
和奏(プロフ) - 中3のわかなです。！実は私2ヶ月前に肺がんのステージ4と診断され、病院に入院しています。治る見込みは少ないと言われ落ち込んでいた私を元気にしてくれたのはkonasuさんのこの小説でした。本当に感謝しています。konasuさんも病気と闘いながら頑張ってください！ (2018年9月18日 1時) (レス) id: 7ee2ac1e66 (このIDを非表示/違反報告)
ポメ - こなすさんお疲れ様でした；；この作品が終わっちゃうのが少し悲しいですが、とても面白かったです！。素敵な作品をありがとうございました！ (2018年8月14日 10時) (レス) id: e76e17932f (このIDを非表示/違反報告)
おじょう(プロフ) - こなすさん、お疲れ様でした！！そして、本当に沢山の癒しと感動と愛をありがとうございました★完結嬉しいけど、やっぱり寂しいです(笑)こなすさん大好きです★★★ (2018年8月10日 12時) (レス) id: aece03adca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ko*nasu | 作成日時：2017年7月13日 1時
