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窪「Aちゃんっ…？！！」
慌てて駆け寄ったマサくんが、
泣きじゃくる私を抱えるようにして
肩や背中をさすってくれる。
あぁ…、何やってるんだ、私。
いくら私がもがいたって
奥さんの決心を引き止めたって…
マスターはもう帰ってこないんだ。
そんなの分かってることじゃない。
なのにどうして…、こんなに悔しいの？
「ありがとう…」
『っ…？』
「この店や、私たちのことを
涙を流すくらい思いやってくれて」
太陽みたいに微笑む奥さんの目尻が
涙でキラキラ輝いていた。
そうか…
私がこうして悔しい、という気持ちは
"思いやり" なんだ。
全然、そんな意識なかったのに。
お礼なんて言われる程でもないのに…
窪「あの…っ」
「はい？」
それまで私のことを
優しくなだめてくれていたマサくんが
突然、芯のある声で奥さんに問い掛けた。
窪「引き渡すことはお考えではないですか？」
「引き渡す…？」
窪「はい。この店そのものを
誰かに引き継いでもらうんです。
売ったり、無くしたりはせずに…
例えばお子さんとか、お孫さんとか！」
それって後継者を探すってこと？
あ…、でも確かマスターと奥さんの間には
お子さんはいなかったような…
「引き継いでもらう…、素敵ね！
その考えは浮かばなかったわ。
ただ…、私たち子どもに恵まれなかったの。
だからずっと2人でやって来てたのよ」
窪「！ …そう、だったんですね。
偉そうに勝手なことを言ってしまって
すみません…」
「いいのよ、気にしないで？
もう何十年も昔の話なんだから(笑)」
…やっぱり。
昔、一度だけそんな話を聞いた覚えがあった。
珈琲を淹れ直そうと、
奥さんはカップを手に席を立った。
その少し丸まった背中を見て
同情とか…、可哀想とか
そういう気持ちとは全く違う何かが
私の胸の中でじんわり広がっていく。
暖かくて、柔らかい。
『私っ…！！！』
「？」
振り向いた奥さんに向かって
私は思い切り頭を下げた。
私は…、マスターのおかげで
カフェを開くことが出来たんだ。
それなのにまだ、何のお礼も出来てない。
ずっと抱き続けてきた感情。
この気持ちは… "ありがとう" だ。
それならその感謝の想いを…
今、伝えなきゃ。
『私にこの店を引き継がせて下さい！』
そう思ったと同時に
私はそんな言葉を告げていた。
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おじょう(プロフ) - こなすさん★ご無沙汰しています。お身体の調子は大丈夫でしょうか？久しぶりに逢いにきてしまいました(*^^*) (2019年5月22日 19時) (
レス) id: 1c4a6319b1 (このIDを非表示/違反報告)
まこ(プロフ) - はじめまして。一気に作品を読ませていただきました。とてもとても素敵な作品で心が温かくなりました。作者さんの人柄だったり経験だったりが前面に溢れ出る素敵な作品なのだろうなと思いました。この作品に出会えて本当に良かったです。ありがとうございました！ (2018年11月25日 23時) (レス) id: 7cdfb99ab3 (このIDを非表示/違反報告)
和奏(プロフ) - 中3のわかなです。！実は私2ヶ月前に肺がんのステージ4と診断され、病院に入院しています。治る見込みは少ないと言われ落ち込んでいた私を元気にしてくれたのはkonasuさんのこの小説でした。本当に感謝しています。konasuさんも病気と闘いながら頑張ってください！ (2018年9月18日 1時) (レス) id: 7ee2ac1e66 (このIDを非表示/違反報告)
ポメ - こなすさんお疲れ様でした；；この作品が終わっちゃうのが少し悲しいですが、とても面白かったです！。素敵な作品をありがとうございました！ (2018年8月14日 10時) (レス) id: e76e17932f (このIDを非表示/違反報告)
おじょう(プロフ) - こなすさん、お疲れ様でした！！そして、本当に沢山の癒しと感動と愛をありがとうございました★完結嬉しいけど、やっぱり寂しいです(笑)こなすさん大好きです★★★ (2018年8月10日 12時) (レス) id: aece03adca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ko*nasu | 作成日時：2017年7月13日 1時
