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数分後、運ばれてきたオムライスは
昔と変わらぬ見た目も美しい逸品だった。
たっぷりかけられた
濃厚なデミグラスソースと
その上に添えられたクレソンが
良い色合いを保ってくれている。
「どうぞ、召し上がれ」
『頂きます…っ』
窪「いただきます！」
マサくんと同時に一口、
熱々のオムライスを頬張る。
味わうより先に、口に入れただけなのに
鼻に抜けていく香りだけで
どんどん胸の中が満たされていく。
あぁ…、美味しい。この味だ。
週に何回食べてただろう？
「味…、落ちてませんか？」
『全然っ！全くそんなことはありません！
あの頃と同じ味で、すごく懐かしいです』
「まあ…、それは良かった」
不安げに見つめていた瞳が
微笑みと共に皺を寄せて細くなった。
正面のマサくんも
そんな私と奥さんの会話を聞いて
安心した様子で再びスプーンを動かし始める。
「先日…、そちらのお兄さんから
あなたがカフェを営んでいると聞いたわ」
奥さんは少し離れたカウンター席から
読みかけだった本にしおりを挟みつつ
私たちに向かって話し始める。
「主人のおかげで店を開くことが出来たと…
おっしゃって頂いていたようね」
『はい、ずっとお礼を言いたくて…
いつか、いつか、と思っていたのですが
…まさか、お亡くなりになってるなんて』
「驚かせてしまってごめんなさいね。
昨晩、ふと… 毎日のようにこの店に
来てくれていたあなたの姿が浮かんできて
もしかして、って予想していたの。
的中して驚いたわ。
主人が教えてくれたのかしら」
そう言って奥さんは
悲しげに遠い目で窓の外を見つめた。
オムライスは残りあと一口。
マサくんも同様に最後の一口を
存分に味わいながら飲み込んだ。
「もう…、半年も経ってしまったのね」
『夏だったんですね』
「ええ。梅雨の時期でした。
毎日、嫌になるほど雨が降っても…
欠かすことなく病院へ通いましたが
梅雨が明けたと同時にあの人も…」
窪「…」
『…っ』
2人とも気の利いた返事が出来ず
会話を止めてしまい店内が静かになる。
奥さんは席を立つと
食べ終えたオムライスのお皿を取りに
再び私たちのテーブルへ来てくれた。
「ケーキがあるの、
1人で食べるのは寂しいから…
一緒に食べて頂けないかしら？」
『は…、はいっ』
窪「もちろんです、喜んで」
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おじょう(プロフ) - こなすさん★ご無沙汰しています。お身体の調子は大丈夫でしょうか？久しぶりに逢いにきてしまいました(*^^*) (2019年5月22日 19時) (
レス) id: 1c4a6319b1 (このIDを非表示/違反報告)
まこ(プロフ) - はじめまして。一気に作品を読ませていただきました。とてもとても素敵な作品で心が温かくなりました。作者さんの人柄だったり経験だったりが前面に溢れ出る素敵な作品なのだろうなと思いました。この作品に出会えて本当に良かったです。ありがとうございました！ (2018年11月25日 23時) (レス) id: 7cdfb99ab3 (このIDを非表示/違反報告)
和奏(プロフ) - 中3のわかなです。！実は私2ヶ月前に肺がんのステージ4と診断され、病院に入院しています。治る見込みは少ないと言われ落ち込んでいた私を元気にしてくれたのはkonasuさんのこの小説でした。本当に感謝しています。konasuさんも病気と闘いながら頑張ってください！ (2018年9月18日 1時) (レス) id: 7ee2ac1e66 (このIDを非表示/違反報告)
ポメ - こなすさんお疲れ様でした；；この作品が終わっちゃうのが少し悲しいですが、とても面白かったです！。素敵な作品をありがとうございました！ (2018年8月14日 10時) (レス) id: e76e17932f (このIDを非表示/違反報告)
おじょう(プロフ) - こなすさん、お疲れ様でした！！そして、本当に沢山の癒しと感動と愛をありがとうございました★完結嬉しいけど、やっぱり寂しいです(笑)こなすさん大好きです★★★ (2018年8月10日 12時) (レス) id: aece03adca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ko*nasu | 作成日時：2017年7月13日 1時
