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5_ウツクシイ▪キミノ▪トナリデ ページ5

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 太宰に言うこと言って社に戻る。



 「アイツには心底腹が立つよ。」





 初めて逢った時の彼女は幼くて可愛い女の子だった。
 社長の数少ない遠縁の親戚で何も知らない箱入り娘。


 
 探偵社設立から一年立ってるか立ってないかあたり。僕が十七、彼女が十二歳の頃。


 彼女の屋敷に招かれて、ポツリと社長が吐いた悩みに対して両親を一生懸命
 説得して解決してくれた優しい優しい女の子。
 



 でもある日、彼女は泣きながら親を殺されたと社長に縋り寄ってきた。




 そこからだった。


 彼女は下唇を力一杯噛んで涙を我慢するようになった。直ぐに社長と僕を頼ることを辞めた。
 愛想笑いが苦手だったのにいつの間にかするようになった。





 火蕨家の当主、ご夫人が居なくなり屋敷も半壊。
 挙げ句の果てポートマフィアに狙われる可能性はまだ捨てきれない。



 残ったのは莫大な財産と衰退した名誉に箱入り娘のお嬢様。

 か弱いお嬢様が莫大な財産を持っているとなると襲われる危険が高まる
 只のお荷物でしかなかった。






 当時彼女は十六歳。

 前を向くしかなかった彼女。子供では居られなかった彼女。



 そんな彼女を僕は傍で見てきた。




 寝る間も惜しんで勉強して、何があっても毅然とした態度で過ごして
 大御所と取引して、政治的にも社会的にも地位を築いて、
 制御しづらい異能を制御して、当主としての役割を果たして



 彼女は必死に火蕨家を立て直した。






 
 僕はそんな彼女の人生を狂わした太宰が憎くて堪らない。
 でも魅緑はそうじゃない。嫌いではあっても憎い訳じゃない。


 前に何気無く聞いたことがある。
 両親を殺したヤツが憎い?って。そうしたら流石の僕も予想外の回答が返ってきたのを覚えてる。




 『別に憎んでたり恨んでたりはしない。彼にも彼の事情があって日常がある。仕方のないこと。
 両親は愛していたけれど、両親のために彼を憎む様なこと、私には出来ない。』


 『其れに案外この生活も嫌いじゃないしね。あの出来事のお陰で今の私が居るのだし、』




 
 嘘つけ、辛いくせに。泣き出したいくせに。


 あんなに酷いことをされても魅緑は太宰を恨まなかった。
 だからこそ魅緑の友人である僕が太宰を憎むなんて出来なかった。




 何年立っても綺麗な魅緑の傍にいたかったから、




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あっぴー - あっ…好きです!おもしろいです! (2月18日 23時) (レス) @page13 id: 9335c42a96 (このIDを非表示/違反報告)
アディショナル(プロフ) - とってもおもしろいです!異能力は雷電将軍かな?頑張ってください! (2月9日 23時) (レス) id: c16c35d125 (このIDを非表示/違反報告)
ふらんふらん(プロフ) - とてもとてもべりーべりー最高です。夢主様の口調やら乱歩さんと太宰さんとの関係とか諸々好きです。とても尊敬です。 (2月3日 23時) (レス) @page8 id: 13e4982fef (このIDを非表示/違反報告)
すあ - とてもおもしろいです! (1月25日 15時) (レス) @page5 id: b296360cb1 (このIDを非表示/違反報告)
朱鷺 - 夢主ちゃんの使ってる言葉からして、めっちゃ好きです。がんばって下さい! (1月15日 13時) (レス) @page3 id: b34111cf4c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:糸町 | 作成日時:2024年1月8日 21時

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