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壱馬said

やっと、北人と2人切りになれた!
これでちゃんと話が出来る。

本当はどちらかの家が良かったけど。
北人が嫌だと言うので、近くで見つけた照明の暗い静かなBARに入った。

北人不足が続いているので北人に触れたくて堪らない。

席について手を握ろうとすると、避けられる。

北人の隣に行き、壁際に追い込む。

耳元で好きと囁くと照明で暗くても分かる位に顔が赤くなる。

密着している身体からは心音が激しく高鳴っているのが伝わってくる。

人前で外だと分かっていても興奮する。

店員さんも少ないお客さんも大人のマナーで、見ない振りをしてくれている。

チラチラ見られている視線は感じるけど、もう良いや!我慢出来やん!

北人の可愛い唇にキスしようと顔を近付けた。

北「ちょっと、待って!それは駄目!」

両手で顔を挟まれて、間際で止められる。

「はぁ、何で?」

北「何で?じゃないだろ!」

急に立ち上がった。

北「俺、帰る」

俺を押し退けて、出口に一直線で店の外に出て行ってしまった。

「北、ちょっと待って!」

「すみません。会計」

急いで会計を済まさて北人を追い掛ける。

店の外に北人の姿は無かったが、樹の家の方に走って行けば、北人の背中を見つけた。

「北人!」

声をかければ、走り出す北人。
それでも俺の方が足は速くて追いついた。
北人の手を捕まえた。

「はあ、はあ、逃げやんの」

北「はあ、はあ、壱馬の馬鹿」

「だって、好きなんやもん。仕方ないやん」

北「俺だって、はあ、はあ」

「俺だって、何?言って!」

北「登坂さんと別れてよ」

「じゃあ、北人も樹と別れろや」

北「うー、無理!」

泣き出す北人。

「そんなん、俺かて無理やん」

北「じゃあ、俺と別れてよ」

「何で?北人の事かて大好きなんやよ。愛しとる」

もう離すまいと泣いている北人を強く抱き締める。

北「だって、絶対、いつか俺の事捨てるじゃん」

「そんな事する訳ないやろ!北人、俺の家行こう!北人の家でも良いから」

あかん。抱き潰したい。
北人の身体に分からせる。
俺がどれだけ北人を好きか!
北人が二度と俺から離れられない様にする!

北「樹が帰って来るから、もう帰る」

「嫌や!今日は俺を選んでよ」

北「ごめん。もうちょっと時間を頂戴。もう1回考えるから」

「今日はどうしてもあかんの?」

北「気持ちが付いてかない。もう逃げないから!」

北人が真剣な顔で言うから、今日は大人しく北人を樹の家まで送って帰る事にした。

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作者名:サーシャ | 作成日時:2020年12月21日 22時

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