24 ページ22
樹said
北人さんの俺を呼ぶ声が聞こえてリビングに戻ると、壱馬さんが北人さんの上に跨っている。
人の家で何をしてくれているんだ。この人は!
「離れて下さい」
壱馬さんの腕を引っ張って、北人さんの上から退かす。
北人さんは上半身を起こして、服の袖で唇を拭いていた。キスでもされたのかな?
「話は終わりましたか?」
北「終わった」
壱「まだ、終わってへんやろ!」
北「俺、壱馬と別れるから」
壱「北人!」 大声を上げる壱馬さん。
嗚呼、これ以上は不味いな。
「もう帰って下さい壱馬さん。」
壱馬さんの腕を引っ張って帰るように促す。
壱「樹、まだ話終わってない」
「今日は取り敢えず帰って下さい」
北人さんは身を縮ませて怯えている。
壱「ちょっ、北人。俺は別れる気ないからな!」
壱馬さんを玄関まで引いて行く。
壱「離せ!」
掴んでいた手を離した。
「登坂さんと上手く行ってるなら、もういいでしょ。北人さんは諦めて下さいよ」
壱「それは出来やんから」
怒りを露わにに帰って行った。
壱馬said
ムカつく、ムカつく、ムカつく!
何なんや?別れるとか、ふざけんな!
自分かて俺と樹、二股掛けとるくせに何で俺はあかんのや!
臣さんには俺と北人の関係を言ってある。
それでも良いって言ってくれた。
北人も最初は怒るやろけど、俺の事が好きなら許してくれると思っていた。
樹の事もあるので嫌とは言わないだろうと。
別れるなんて言い出すとは思わなかった。
何で、そんなに簡単に言えるの?
俺の事、そこまで好きではない?
いや、そんな事はない筈。
でも、しばらく北人と会ってない様な?
臣さんに夢中で北人の事を忘れていた?
そんなつもりは無かったけど。
あかん。やってしもたかも?
北人に嫌われたんやろか?
いや、でもショックで泣いとったみたいやし。
そもそも何でバレたんやろ?
あかん。どうしたら良いか分からんくなってきた。
早く北人と仲直りしたい。
北人を今直ぐにでも抱きたい。
でも、臣さんと別れたくない。
北人と別れるのも絶対に嫌や!
それから、何度も北人に電話やメール、ラインしても、全く応答がない。
完全にシャットダウンされている。
北人の家に行っても、いつも留守だった。
あれから、ずっと樹の家に泊まっているみたいだ。
このまま樹と同棲とかするとかないよな?
本気で俺と別れて樹と暮らすつもりなんやろか?
そんなん、許さん。
57人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:サーシャ | 作成日時:2020年12月21日 22時