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樹said
今日北人さんは機嫌が良い。
仕事が終わって２人でラーメンを食べて家に帰って来た。
北「マース!」
家に来てからはずっとマースと遊んでいる。
それは凄く癒やされる絵面なのだけど､ずっと胸のモヤモヤが消えない。
「北人さん、ちょっと来て」
北「ん？何？」
マースを抱き抱えて俺の隣に座った。
膝の上のマースを取り上げて下に下ろす。
北「ん？」 首を傾げている。
その顔が可愛いから唇に口付けした。
違う、違う。
そんな事をしたいんじゃない。
したいけど、今ではない。
「何か俺に言いたい事はない？」
北「ん？何？どうしたの?」
不思議そうな顔で覗き込む。
いつもなら、そのまま始めるところだもんね。
北「樹、何か悩みがあるなら俺に言ってよ」
なんだよそれ？
「悩んでるの北人さんでしょ!何で俺に何も言わないの？」
目を見開いて驚いたかた思ったら、困った顔をして、泣きそうな顔になる。
北「何か聞いたの？俺の事?」
「慎ちゃんに、」
その名前に、又、目を大きく開き涙が溢れ出た。
北「ごめん。帰る」
ソファから立って帰ろうとする。
え？何で帰るの?
反射的に北人さんの腕を掴んで止めた。
北「全部聞いた?」
「はい」
北「嫌いになったよね?」
「なってないよ」
やっとこっちを見てくれて身体の向きをこちらに向ける。
「取り敢えず座って」
もう一度ソファに座らせる。
流れ続ける涙を指で拭ってあげる。
北「怒らないの?」
「怒ってるよ」
北「ごめんなさい」
「もうしないよね?」
北人さんはコクンと頷く。
「何で俺に相談してくれないの？壱馬さんの事。」
膝の上で手をギュッと握って下向いたまま泣いていて、何も言わない。
「慎ちゃんには相談してたんだよね!俺はそんなに頼りにならない?」
北「樹が怒ると思って」
怒る?俺が？
北「壱馬の事だと樹、直ぐに怒るから」
そんな事。 あるか!
確かに北人さんの口から壱馬さんの名前が出るとイラッとする。
どうしても嫉妬してしまう。
「それでも言ってよ!困った時は俺を頼ってよ」
北人さんが顔を上げて俺を見る。
「慎とか他の奴に頼られる方が嫌だよ」
ヤバい俺まで連れ泣きしそうだ。
「ごめん。樹。俺は樹に嫌われたくなかっただけで。」
北人さんの手が俺の頬に触れる。
自分が泣いてるのに俺を励まそうとするの?
「北人さん俺の事大好きだよね!」
北「うん。大好き」
嗚呼、もういい。全部許す。
泣いてる北人さんに深く深くキスをした。
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作者名：サーシャ | 作成日時：2020年12月21日 22時
