可哀想な女 ページ10
Aside
「で、俺でいいの？」
『まぁ。知らない人よりかは知り合いとの方がまだ良いかなって』
佐野万次郎が死んで一ヶ月。春千夜が情緒不安定になって一ヶ月。そんな今日、私は元梵天幹部である灰谷蘭の元を訪れていた。理由は色々あるが、簡単に纏めると“寂しい”からだ。今この世界に、私を愛してくれる人が居ない。その寂しさを埋めたくて、私は彼に連絡を取った。理由を説明すると、彼は二つ返事で承諾し、少し高そうなホテルの位置情報を送ってきたので直ぐにそこへ向かった。
目の前にはバスローブ姿で髪を濡らす蘭がいる。ムカつくけど顔が良いこの男は、見るからにセクシーな雰囲気を漂わせていた。ワックスが取れた髪は、サラサラと目と被るくらいに伸びている。私は今から、この男に抱かれるのか。
「お前が愛してやまない春千夜くんじゃなくて良いわけ？」
『…いいよ。今の春千夜に抱かれたら途中で殺されそう』
「確かになぁ。じゃあお前の処女は俺が貰うから」
何故私が処女なのを知っているのだろうと疑問に思ったが、私の春千夜に対する愛の重さを知っている彼なら考えたらすぐ分かるのだろう。蘭が最初に聞いてきた、“俺でいいの”発言もきっと私が処女だということを見越してのことだろう。この男、そこまで人に配慮できる人間だっただろうか。私の知っている灰谷蘭ではないことに驚きつつ、私は自分も着ているバスローブを脱いだ。
蘭はそれをまじまじと見て、不敵に笑った。大きなベッドに、私と蘭が乗る。本当は初めては春千夜が良かった。けど、私のことを愛してくれない春千夜に抱かれても、それはそこら辺の男に抱かれたのと同じだ。
蘭の手がゆっくりと伸びてくる。
怖い。春千夜。助けて。
『…はる、ちよ』
「…」
つい零してしまったその一言により、伸びていた蘭の手が止まる。そして「やーめたっ」とワントーン上げた声で彼はそう言った。私は急いで「ごめん、もう一回」と謝り再戦を申し込むも、「嫌」と断られる。そして床に落ちているバスローブを拾い上げ、私の肩に掛けた。
「お前とヤ るならそこら辺の女引っ掛けた方が良いわ」
『…蘭』
「お前、ホント可哀想な女だな」
慰めるわけでも寄り添うわけでもなく、ただ吐き捨てるようにそう言うと、蘭はお金だけ置いてこの部屋を出て行った。私はそれを確認してから、防音室なのを良い事に、声が枯れるまで泣き崩れた。
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ひめ☆そら(プロフ) - 悠さん» ありがとうございます！私も梵天ifは見たことないなぁ…と思いながら作らせて頂きました！最後までどうぞよろしくお願い致します！ (2021年9月3日 23時) (
レス) id: f06e616829 (このIDを非表示/違反報告)
悠 - 梵天でこういったifみたことなかったので楽しみです！更新待ってますね！！！ (2021年9月3日 19時) (レス) id: d04a74515a (このIDを非表示/違反報告)
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