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葬式 ページ7

Aside







今日は花垣武道の葬式の日。春千夜は鶴蝶に預け、私はその会場に足を運んでいた。流石に春千夜をここに連れて来れるほど、命知らずなことは無いだろう。でも彼を一人にする訳にもいかない。何をするか分からないから。だから梵天の中でも一番信頼出来る人物に彼を託した。春千夜は依然、目に光を持たない空っぽな人間のままである。

黒のスーツに身を包まれた私は、会場に入る。そこには花垣武道の婚約相手であった橘日向が静かに涙を流していた。彼女はお世辞なしで顔立ちの整った綺麗な女性だと思う。そのせいか、その涙ですらも美しく感じる。本当に花垣武道には勿体ない女性だ。しかし、彼女は本当に可哀想だ。周りの声を聞いてみると、どうやら二人は結婚式の直前だったとか。自分の婚約者を置いてまで、花垣武道、アンタは佐野万次郎を選んだ。そして死の運命を辿った。漫画とかでよくありそうなバッドエンドが、まさか本当に起きるなんて。最初から放っておけば、今頃アンタは幸せな家庭を手に入れていたのに、馬鹿な男だ。

他にも見慣れたメンバーが数人居るが、ほとんど接点のない人ばかりだ。そもそも、私は春千夜の幼馴染みという訳であり、彼らと親しかった訳じゃない。当時、佐野万次郎とたった数回しか話したことの無い女だ。彼らの中で私はただのモブキャラにすぎない。なら、モブキャラはモブキャラらしく、事を済ませたらさっさと帰ろう。

私は花垣武道に怨みを送ったあと、そのまま会場を後にした。







(…佐野万次郎の葬式もしてやりなさいよ)







まぁ、確かに日本最大の犯罪組織梵天の首領である男の葬式を一般人が堂々とやれる訳がないか。きっと彼の葬式は身内のみで行うのだろう。しかし本当に、どこまでいっても報われない可哀想な人。

私は佐野万次郎に初めて同情した後、春千夜を預けた鶴蝶の元へと進路を変えた。

もう戻れない→←酷く醜い生き物



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ひめ☆そら(プロフ) - 悠さん» ありがとうございます!私も梵天ifは見たことないなぁ…と思いながら作らせて頂きました!最後までどうぞよろしくお願い致します! (2021年9月3日 23時) (レス) id: f06e616829 (このIDを非表示/違反報告)
- 梵天でこういったifみたことなかったので楽しみです!更新待ってますね!!! (2021年9月3日 19時) (レス) id: d04a74515a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひめ☆そら | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年8月31日 19時

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