・ ページ8
爆豪side
昔の記憶に浸っていると、インターホンの音が鳴る。モニターを確認すると、そこにはアイツの姿があった。俺は眉間に皺を寄せながらも、話だけは聞いてやろうと扉を開ける。「何の用だ？」と聞けば、「話したい事がある」と言って許可もしていないのに家の中へズカズカと入る。誰もいない廊下に舌打ちを鳴らした後、扉を閉めてリビングへと向かった。
リビングに入ると、ソイツはソファの真ん中にドカッと座り、テレビを見ていた。まるで自分の家にいるかのようなくつろぎ方だ。心底腹が立つ。俺はソファの横に立つと、真ん中に座っているソイツの腹を少し潰すように蹴る。すると、ソイツは横に移動して人一人座れるくらいのスペースを空けたので、そこに座る。
「…で、話ってなんだよ。轟」
そこで、俺は初めて轟の名前を呼ぶ。轟は何も言わずただずっとテレビから流れるニュースを眺めていた。自分から話があると無許可で家に上がり込んだのにも関わらず、ひたすらに黙り込むコイツにそろそろ怒りが爆発しそうでいると、「爆豪」と轟は俺の名を呼んだ。
「俺、振られたんだ」
「……は？」
「そんな驚くか？」
「驚くだろ、だって、」
だって、アイツが好きなのはお前なんじゃねぇの？
そう言おうとしたが、もし本当に轟が振られていたとしたら。そう返すのは不謹慎なのではないかと思い、言おうとした寸前で口を閉じる。そんな俺を見て、轟はあぁ、と思い出したかのように「お前誤解してるんだもんな」と一言呟いた。誤解とは一体どういう事なのだろう。
「Aが好きなのは俺じゃねぇよ。アイツお前に誤解された〜って嘆いてたぞ」
「…」
「明日はアイツの握手会。チケット貰ったから行ってやれよ」
そう言って轟は自身の胸ポケットから握手会のチケットを渡してきた。しかし、俺はそれを拒む。「行かねぇの？」と聞く轟に「バァカ」と舌を出して言う。俺はテレビの横に置かれている棚の引き出しを開けて一番上に置かれた紙ペラを取り出す。轟にそれを見せると、少し驚いた顔をして俺を見た。それに少し優越感を覚えた俺は、そのまま轟に中指を立てる。
「アイツだけが俺のファンだと思うなよ。こちとら随分前からアイツに惚れてんだ」
俺の淡い恋心を舐めんじゃねぇぞ舐めプ野郎。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 716人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まなみ(プロフ) - こちらを読ませていただいている間、とても楽しかったです！！爆豪くんは勿論素敵過ぎて"尊死"という夢主ちゃんとリンクした気分でした。笑 読みやすい文章でお話や気持ちの進行が丁寧に描かれているように感じて、とても心地よかったです！有難う御座いました(^^) (2023年3月17日 12時) (
レス) @page29 id: 33510eeae8 (このIDを非表示/違反報告)
ひめ☆そら(プロフ) - 咲ちゃんありがとう！！！これからもよろしくお願いしますっ！！！ (2021年10月5日 21時) (レス) @page27 id: f06e616829 (このIDを非表示/違反報告)
胡桃咲ふわり(プロフ) - ひめちゃん完結おめでとう〜！♡最初っから最後までずっときゅんきゅんしてた、、、！長期休みに1からの読み直し決定！何回読んでも感動するよ絶対、！！他作品の更新も応援してます！♥♥ (2021年10月5日 20時) (レス) @page27 id: 00e13ca19d (このIDを非表示/違反報告)
ひめ☆そら(プロフ) - ぴむさん» こちらこそこの作品を見つけて下さり本当にありがとうございます！！これからも宜しくお願い致します！ (2021年9月25日 10時) (レス) @page11 id: f06e616829 (このIDを非表示/違反報告)
ぴむ(プロフ) - もう、、、きゅんきゅんしすぎて心臓何個あっても足りないくらいです！笑すばらしい作品をありがとうございます！！これからも応援してます❤︎ (2021年9月25日 1時) (レス) @page11 id: c10be29a8d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
