【佐野万次郎】呪いのような口付けを

決意と眠り ページ9

Aside







『ねぇ、一虎』

「あ？」

『私、さ』







＿＿＿＿＿＿＿＿佐野のこと探そうと思う。







『…何でもない』

「…。飛ばすからしっかり掴まっとけよ」

『うん』







・







『千冬くん、ミーちゃんありがとね』

「はい、今回も異常はありませんでした。聞き分けも良いですし、流石Aさんの猫ちゃんです」

「ハッ、いい歳して猫ちゃんて」

「何ですか一虎くん。来月のお小遣い減らしますよ」

「スミマセンデシタ」







ペットショップに戻り、千冬くんからカゴに入ったミーちゃんを預かると、私は駐車場に停めていた車にそれを乗せる。私も運転席へと移動し、エンジンを付ける。その後、窓を開けてお見送りしてくれている二人に挨拶する。







『今日はありがとう』

「はい、またいつでも待ってます」

「ちゃんと寝ろよ」

『うん、じゃあまたね』







私はそう言って窓を閉じて、車を進めた。




家に帰ると、まずはカゴの中に入っていたミーちゃんを玄関で解放する。ミーちゃんはカゴから出ると、伸び伸びした様子で奥へと歩いて行った。私も靴を脱いで洗面所に手を洗いに行く。そして部屋着に着替えて、吸い込まれるようにベッドにダイブした。そのまま自然と意識は遠のいていった。

あの日は凄く暑い日だった→←泣いてしまうくらいに

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