強気 ページ26
Aside
“家に帰してほしい”
私がそう伝えると、「は？」と冷たい言葉が返ってきた。下げていた頭を上げると、スン、と目が据わっている蘭ちゃんと目が合った。交際してた当時ですら見た事無かった彼の表情に思わず体を揺らす。どうしよう、地雷とやらを踏んでしまったのかもしれない。正直、彼の見た事ない表情が怖い。でも大丈夫。彼を怒らせたことなんて過去に沢山ある。これもその内の一つだと思えば、きっと乗り越えられる。
「何？もう一度言ってみ」
『家に帰してください』
「何で？」
『だって蘭ちゃん、後で絶対私に全部奢らせるつもりでしょ？その手には乗らないから』
少し、ほんの少しだけ強気にそう返す。蘭ちゃんは、先程あんなに据わっていた目をパチクリとさせた後、ふはっ、と吹き出すように笑った。今の何処に笑いの要素があっただろうか。少し困りながら彼を見ていると、「お前やっぱ面白いよね」と言われたので「あ、ありがとう…？」と返す。段々と落ち着いてきた蘭ちゃんは、一息着く。
「奢りたくないから家に帰せ〜なんて言ったの？」
『だってここ全部高いんだもん…今月の生活費が飛んじゃうよ？』
「言ってるだろ、お前に奢らせねぇよ」
『…本当に？』
「本当だって、信用ねぇなぁ」
「蘭ちゃん悲し〜」と微笑みながら彼はメニュー表に目を通す。言葉と表情が何一つ一致してないのに関してはスルーした方がいいのだろう。いつもの蘭ちゃんに戻ったのを見て私は安心していた。蘭ちゃんを信用して私もメニュー表に目を通す。相変わらず凄い値段だけど、蘭ちゃんが奢ってくれるから私も好きなのを食べよう。お店の人を呼び、容赦ない私のオーダーに、蘭ちゃんは呆れた顔をしていた。
メニューが下がり、食事よりも先にワインが届く。そのワインが入ったグラスを持ちながら私と蘭ちゃんは乾杯する。一口飲むと、私が今まで飲んた事のない、とても豪華な味が口の中で広がった。こんなに美味しいワインを飲んだことがない。
「美味い？」
『うん、びっくりしてる』
「じゃあ帰りに一本買ってくかぁ」
『え？いやいいよ悪いし…』
断る私に、「遠慮すんな♡」って笑う蘭ちゃん。その笑顔に、昔の面影を感じた。
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ひめ☆そら(プロフ) - マンゴーさん» ありがとうございます！！続編でもよろしくお願い致します！！ (2021年9月11日 23時) (
レス) id: f06e616829 (このIDを非表示/違反報告)
ひめ☆そら(プロフ) - なるさん» 返信が遅くなってしまってすみません！！そう言って頂けてとても嬉しいです！続編でもよろしくお願い致します！ (2021年9月11日 23時) (レス) id: f06e616829 (このIDを非表示/違反報告)
マンゴー - 続編おめでとうございます！！これからも頑張ってください。応援してます！！ (2021年9月10日 18時) (レス) id: 32d06b4eaf (このIDを非表示/違反報告)
なる - 続編おめでとうございます！！とっても嬉しいです！！ひめ☆そらさんの描く竜胆がいつも尊くて好きです！引き続き応援させて頂きます！！ (2021年9月10日 5時) (レス) id: ec50fd9b43 (このIDを非表示/違反報告)
ひめ☆そら(プロフ) - りかこさん» わー！！そう言って頂けてとても嬉しいですっ！続編でもこの作品をよろしくお願いします！！ (2021年9月9日 23時) (レス) id: f06e616829 (このIDを非表示/違反報告)
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