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寂しくない夜を ページ39

Aside







お母さんは、首吊り自 殺だった。それを見つけたのはお父さんで、私はその時マイキーの家にいた。だから、お父さんから電話でそれを聞いた時、世界が真っ暗になった。周りに何も見えなかった。広がるのは大きな闇だった。けど、そんな闇から抜け出せたのは、受話器を持ちながら突っ立ってる私を抱きしめてくれたマイキーだった。





それからだ。それから私は、佐野万次郎を____。
















『ん…』

「あ、起きた」

『…夢見てた』

「うん。寝言でおばさんのこと呼んでた」







病院に居たはずなのに、目を覚ますと何故か自分の家のベッドで寝ていた。きっとマイキーとバジリンが運んでくれたのだろう。二人は私の部屋にある少女漫画を机に並べて読んでいた。二人に乙女心が分かるとは到底思えないけど。







『…お母さんが死んだ時の夢を見たの』

「…」

『お母さん、お父さんの事守ってあげてって言ってた。なのに私、守れなかった』

「守ったよ、お前は。おじさんが生きてんだから」







マイキーは私の頭を撫でる。その優しい声に、私は何度助けられたのだろう。撫でられた部分がジンジンと熱い。マイキーに撫でられるの、好きだ。安心する。心が温かくなる。優しい手。







『ねぇ、今日二人とも泊まっていきなよ』

「お前健全な男子中学生舐めるなよ」

『何考えてんだよお前は』

「場地ったらやらし〜〜〜」







マイキーは奥様風にそう言うと、バジリンは顔を真っ赤にして「い、今のは悪ノリだろ!!」と反抗してきた。マイキーは「本当に〜?」と煽るように聞き返す。正直私もその顔でその発言は信じられない。そもそもバジリンは健全では無い。そこから訂正させて欲しいものだ。


まぁその話は置いといて、私が二人に泊まって欲しい理由は二つあった。







『お願いバジリン』

「…」

『ご飯。…独りぼっちは寂しいから』







「あと寝るのも」と付け足すと、バジリンは渋々了承してくれた。マイキーは最初からそのつもりだったらしく、もう家族に連絡まで済んでいるとの事。用意周到だなコイツ。


けど、こうして三人でお泊まりするのは本当に数年ぶりだった。







『万次郎、圭介、ありがとう』







今日はきっと寂しくないよね。

自慢の父親→←最後の会話



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ひめ☆そら(プロフ) - かかさん» そう言って頂き光栄です!ありがとうございます! (2021年7月9日 13時) (レス) id: f06e616829 (このIDを非表示/違反報告)
かか - 更新楽しみです!無理せず頑張ってください! (2021年7月9日 6時) (レス) id: b7e78c6068 (このIDを非表示/違反報告)
ひめ☆そら(プロフ) - 雪見大福さん» ありがとうございます!!無理せず頑張りたいと思います! (2021年6月6日 13時) (レス) id: f06e616829 (このIDを非表示/違反報告)
雪見大福(プロフ) - これからも無理せず頑張ってください (2021年6月6日 11時) (レス) id: 4031fb98ab (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひめ☆そら | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年5月30日 17時

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