最後の会話 ページ38
Aside
私は昔から夢を見ると必ず良くないことが起こる。それは幼少期の頃から自覚していた。初めて夢を見たその翌週、祖母が亡くなった。次に夢を見た時は母の鬱が発覚した。他にも、夢を見る度に私の周りで良くないことが起こった。
それをマイキーたちに初めて話した日は、やはり馬鹿にされた。“そんなことあるわけない”と。私も正直、ただの偶然なんじゃないかって思っていた。けど、その疑念が確信に変わったのは、あの日からだ。
・
その日、私は夢を見た。そこは未来の世界で、子供がいて、だけど私がマイキーを助ける話………違う。夢の中の私は、半分諦めていたんだ。私じゃマイキーを助けるのは無理なんじゃないかって。そんな中、私は“誰か”に出会った。私は無意識に彼を“タケミッチ”と呼んでいた。私はその“タケミッチ”を守って、死んだ。
朝、目を覚ますと泣いていた。目を覚ますと、マイキーとバジリンが心配そうに私の顔を覗いていた。何故二人がここにいるのだろうと思ったが、今日は土曜日。二人と遊ぶ約束をしていたのを思い出した。きっと中々私が来ないから心配して来てくれたのだろう。
「大丈夫か、嫌な夢でも見たのか」
『…うん』
「じゃあまた良くないことが起きるのか?」
『…分からない』
暫く沈黙が続いたが、「起きたから外で遊んで待ってるな」とマイキーが言うと、二人は部屋を出て行った。私は着替えて洗面所で顔等を洗ってからリビングへと移動する。時計を見ると十時を少し過ぎていた。
『おはよう、お母さん』
「おはよう。ごめんね、勝手に二人入れちゃって」
『大丈夫だよ。お父さんは?』
「急遽お仕事入っちゃってね、朝早くから行っちゃったわ」
そしてテーブルに並べられた朝食を食べて、私は玄関に向かう。靴を履いていると、後ろからお母さんに声を掛けられた。
「ねぇ、A」
『何?お母さん』
「貴方がお父さんのこと、守ってあげるのよ」
『…お母さん?』
私はお母さんの名前を呼ぶが、お母さんは俯いていて、暫く沈黙が続いた。そして、急にパッと顔を上げて笑ったかと思えば、私をギュッと抱きしめた。
「愛してるわ」
『…』
そしてパッと離して、お母さんはまた笑った。
「行ってらっしゃい」
『……行ってきます』
私は少し様子のおかしい母に戸惑いながらも、家を出た。
しかし、これが私と母のした最後の会話だった。
1197人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ひめ☆そら(プロフ) - かかさん» そう言って頂き光栄です!ありがとうございます! (2021年7月9日 13時) (レス) id: f06e616829 (このIDを非表示/違反報告)
かか - 更新楽しみです!無理せず頑張ってください! (2021年7月9日 6時) (レス) id: b7e78c6068 (このIDを非表示/違反報告)
ひめ☆そら(プロフ) - 雪見大福さん» ありがとうございます!!無理せず頑張りたいと思います! (2021年6月6日 13時) (レス) id: f06e616829 (このIDを非表示/違反報告)
雪見大福(プロフ) - これからも無理せず頑張ってください (2021年6月6日 11時) (レス) id: 4031fb98ab (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ