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罪悪感なんて感情を ページ35

Aside







こうして、稽古の後にそのまま万次郎の家で夜ご飯を食べることが多くなっていった。万次郎には真一郎というお兄ちゃんがいて、シンイチローくんもとても優しい人だった。ご飯も、寂しくなかった。久しぶりにこんなに楽しいと思えた。


けど、それがお母さんを苦しませていたことに、私は気づかなかったのだ。







『今日も稽古終わったら万次郎の所で食べてくるね』

「…ねぇ、A」

『何?お母さん』

「お母さんの料理、美味しくない?」

『ううん!とっても美味しいよ!』

「じゃあ、今日は家で食べなさい。Aの大好きなハンバーグ作ってあげるから」







正直、凄く嫌だと思った。確かにお母さんの料理はとても美味しい。世界一だと思っている。しかし、私は誰かと食べる楽しさを知ってしまったから。もう、独りぼっちで食べるのは嫌だから。


どうして私をいつも放ったらかしにして寝るくせに、そんなに必死そうな顔をしているの。







『…いい』

「え?」

『私、今日も万次郎の所で食べてくるから!』

「Aっ!」







私は家を飛び出して道場へと向かった。これで良い。これで良いはずなのに。胸の中はどこかドロドロして気持ち悪かった。小学生低学年だった私には、この感情の名前なんて知らない。ただひたすらに、この名前も知らない感情で、心が埋め尽くされていた。


私は道場まで走った。走って走って、走り続けた。道場に行けば、万次郎と圭介がいる。二人に話せば、きっと「大丈夫だ」って笑ってくれる。そんな思いでバンッと道場のドアを横にスライドさせた。







「うおっ、びっくりした」

『はぁ、はぁ、』

「…どうした?」






『私、万次郎たちとご飯食べてもいいんだよね?』







私は今にも溢れそうな涙を堪えて二人に問う。万次郎は「はぁ?」と何言ってんだコイツ、といった顔をして、圭介は何かを察したように無言のままだった。







「当たり前だろ。急に何言ってんだ」

『そう…だよね。ごめん』

「…」







そう。これでいい。これでいいはずなのに、私の胸のドロドロはその日、ずっと消えることは無かった。

ハンバーグが食べたいの→←独りぼっちは寂しいから



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ひめ☆そら(プロフ) - かかさん» そう言って頂き光栄です!ありがとうございます! (2021年7月9日 13時) (レス) id: f06e616829 (このIDを非表示/違反報告)
かか - 更新楽しみです!無理せず頑張ってください! (2021年7月9日 6時) (レス) id: b7e78c6068 (このIDを非表示/違反報告)
ひめ☆そら(プロフ) - 雪見大福さん» ありがとうございます!!無理せず頑張りたいと思います! (2021年6月6日 13時) (レス) id: f06e616829 (このIDを非表示/違反報告)
雪見大福(プロフ) - これからも無理せず頑張ってください (2021年6月6日 11時) (レス) id: 4031fb98ab (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひめ☆そら | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年5月30日 17時

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