...249 ページ9
Aはといえば、
必要以外はアニメーガスの姿で眠っていた。
部屋にいるだけでディメンターが生きる気力を
奪っていく。
百歩譲ってそれだけならまだよかった。
問題は食事の時間だ。
その時間だけ人間の姿に戻るのだが
なにせ出される食事が美味しくない。
毎日ホグワーツの美味しい料理に囲まれていた生活
から一転し、味の薄い豆とドロっとしたソースに
埋まっている魚のぶつ切り。
当然彼女が食べられるわけもなく、
そればかりかハグリッドの言っていたサンドイッチ
でさえもパンのカビを発見するや否や
すぐに返却口に押し返した。
頼みの綱は父から届く食料のみだった。
缶詰、パン、菓子類の差し入れが許されており
彼女は定期的に送ってもらっている。
『はぁ、、、。』
本日何度目かのため息をつき、
痩せ細った指で配給の新聞を開いた。
“ダンブルドア 気が触れたのか危険なのか”
一面を飾るのはダンブルドアの顔。
ハリーが曲マグルの街でディメンターに
襲われたことをきっかけに一部の魔法使いは
闇の帝王の復活をささやき、また魔法省を含む
大多数がそれを否定した。
というか、事実から目を背けたかっただけである。
まだ未成年のハリーとダンブルドアが目の敵にされ
学校に魔法省の積極的介入が促されることとなった。
真実を全てスネイプからの手紙で受け取っていた
Aは新聞をぐちゃぐちゃに丸めて
ゴミ箱に投げた。
今年の闇の魔術に対する防衛術の教授が
ドローレス・アンブリッジに決定したと
聞いた時には驚いた。
彼女の両親は魔法省で働いていたので
一度小さい頃に母に連れられて見学に行った際、
全身派手なピンクに身を包んだあの人のことを
鮮明に覚えている。
常に後ろに3人ほど従えて歩き、
偉そうな態度でカツカツとヒールを鳴らしていた。
『セブルス大丈夫かしら、』
あのガマガエル女によってスネイプが明るい服を
身につけさせられるのではないかと
やや飛躍しすぎた危惧をするAなのであった。
「食事の時間だ。」
配膳口から出されたのは形の不揃いなパスタと
野菜ソテー。
いつもよりマシかと思いミートソースの乗った
パスタを一口食べてみた。
『、、うっ、、！』
味がなく、返却した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 346人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：maya.t | 作成日時：2021年5月17日 21時
