My Lord.7 (ページ47)

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「もちろん君にも大切な仕事が待っておる。
　しかし今までの仕事に比べたら少々不満が募るやもしれん。」

長く蓄えた髭を掻いている彼は
伝え方を考えているようにも見えた。

『いいですよ勿体ぶらなくて。』

直球でも遠回しにでも、結局言われることは同じなので
彼女は結論を急いだ。

「そうじゃの、A。
　君の捉え方がいい方に転べばよいのじゃが、、、、
　君には来月から新しく、、、じむに」

『じむ？』

一度下を向き、半月型のメガネを上げ直した
その人物は珍しくふぅ、とため息混じりに伝えた。

「事務じゃ」

『なに!?(What!?)』

突然大きな声を出した彼女にしーーっと人差し指で伝える。

「なかなか複雑な問題じゃった。
　わしも君がいつ目を覚ますか分からなかった。
　何日後か、はたまた何年後か何十年か。
　よって教職員の配置から一度君を除外する必要があった。」

Aは黙って頷く。
それには至極納得できた。

校長はさりげなく彼女の顔色を伺いながら続ける。

「しかしもし目を覚まして退院したとなると、
　わしはどうしても君を安全な所におきたいと考えた。」

『それで騎士団の本部か学校かの二択ですか？』

「左様。
　グリモールドプレイスであればお父上も一緒に暮らせる上、
　仲間とも最前線の情報を共有できると思った。
　しかし君が任務へ行くことは許されない。
　誰よりも標的にされやすいことは分かっているじゃろう。」

『だから前線から外して学校で匿おうと。』

「前の戦争でもそうじゃった。」

『私がアズカバンから帰った時校長が
　そう仰ってましたもんね。』

「君は生徒からの信頼が厚い。
　職員室で事務という名目だが
　生徒の心のケアを任せたいのじゃ。
　残念ながら今のところ世の中は悪い方向に転じている。
　わしは前の戦争の時、子供たちの心を支える専門の職員が
　必要だと強く感じた。
　もちろん君の仕事はそれだけではない、今までのように
　各職員の仕事の手伝いや生徒の質問に答えてほしい。」

校長の考えだ。

これが最善なのだろうと思った。

自分の思いもまた似たようなもの。

学校に尽くしてきた身、
今更本部の屋敷に閉じ込められたままだなんて嫌だ。

それに大して今までの仕事と変わらない。

セブルスも、父親も、学校の皆も騎士団の仲間も、
みんな元気に生きていればそれでいい。

ただ、一つだけ質問せずにはいられななった。

『あの、、』