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目を覚ませば外はすっかり明るくなっていた。
時を止める魔法があれば、、なんて考えてみても
現実はそう甘くない。
Aはベッドの中、隣で眠るスネイプの顔を
しっかりと目に焼きつける。
寝ていても眉間にはしっかりと刻まれた皺。
彼女のおかげですっかりサラサラになった黒髪も
子供の頃から変わらないふにゃっとした唇も
彼の全てが愛おしい。
ここから出たら暫く彼と会えなくなる。
二度と会えない可能性だってゼロではない。
不安を消しきれず、
いつまでも布団から出られないまま
魔法省とのアズカバンの役人が来る時間。
別れを惜しんで彼の唇に軽くキスをした。
これからの生活への勇気も貰いたかった。
顔を離せばスネイプの目はぱっちりと開かれていた。
『わ！起きてたの！』
「随分と我輩に見惚れていたようで。」
『うるさいな、それただの自惚れじゃない。』
顔を真っ赤にして体を起こす彼女を
にやりと笑った彼が見過ごすわけがない。
その腕を掴み抱き寄せた。
彼女の顔に手を添え、
熱い口付けを何度も向きを変えて繰り返す。
『セブルス、ちょっとぉ。』
至近距離で見つめ合う二人。
一方は顔から火が出そうなほど真っ赤に。
もう片方はいつもの土気色の肌に余裕の表情で。
「勝手に人の寝顔を見た罰だ。」
『そんなの無茶苦茶。』
「勝手にキスした罰も与えんとな。」
『別にキスくらいよくない？』
彼女を再び抱き寄せると、耳元で囁く。
「A。 必ず出してやるから。
お前は必ずここに戻ってくる。
あちらは行けば余計な考えを植え付けられる
だろうが、決して希望は捨てるな。
誰に何を言われようと、私は待っている。」
その言葉に彼女は頷いた。
『行かなきゃ。』
「あぁ。」
二人はベッドを抜け着替えると、
最後にもう一度キスをして部屋を出た。
一歩外に出てしまえばただの同僚として
心に線引きをしなければならない。
城の玄関、大扉は開いていて
彼女の引率者が3人待機していた。
「A！！」
『お父さん！！！』
その中の一人に彼女の父もいた。
「私の娘がどうしてこんなことに巻き込まれて、、」
『私を信じてくれる？』
「お前がやったなんて最初から思ってないさ。」
立ち会いにかけつけたダンブルドアとハグリッドが
何とも言えない表情を向ける。
「もう時間は過ぎているぞ。
囚人をさっさと移送しろ。」
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作者名：maya.t | 作成日時：2021年5月17日 21時
