...240 ページ40
時間だけがただ過ぎていく。
深夜の医務室に一人、眠れるはずがなかった。
ハリーは傷の手当てだけで寮に戻されたが
自分は頭に包帯を巻かれ、
安静のため一晩ここで寝かされているのだ。
『はぁー。』
盛大なため息と共に寝返りを打つと
目の前にセブルスの顔。
『ぎゃーーーー！！！！』
彼女は驚いて口をパクパクとさせた。
『い、いたなら教えてよ。』
「やってくれたな。」
『みんなを巻き込んでごめんなさい。』
目線を落として沈む彼女に
仏頂面のスネイプは自身の腿を見せた。
濃紺のズボンにしっかりと刻まれた猫の足跡。
「これのことだ。 どうしてくれる。」
『あ、それ。』
踏み台にされたその足を見て少し笑ってしまった。
「笑ったな。」
彼はしゃがみ込み、横たわる彼女の手を優しく握る。
「しばらくお前の笑った顔見てなかったから。」
『セブルス、、、』
二人の顔が近づきチュッと音を立てて
口付けを交わした。
『部屋戻りたい。一緒にいてよ。』
「珍しく素直だな。」
目を閉じると思い浮かぶのはセドリックの亡骸。
そして蛇のような恐ろしい顔で見つめる闇の帝王。
恐怖に支配され、どうにも一人ではいられなかった。
堪らず体を起こしてスネイプに抱きつけば、
彼も無言で受け入れた。
『あったかい。』
溢れ出す涙。
やっと張り詰めた糸が切れ、緊張から解放された。
『うぅ、セブルスー、あったかいよー。』
「お前が無事でよかった。」
『うぁーーん。』
彼女が落ち着くとスネイプは体を離した。
「A。
今日は我輩の部屋に来い。一緒にいる。
それとポッターから話は聞いた。
彼が死んだのも、闇の帝王が復活したのも
お前のせいじゃない。責任感じるな。」
『ありがとうセブルス。』
立てるか、と彼がベッドから抱き起こしていると
焦った表情のダンブルドアが医務室へと入ってきた。
「A！
おぉセブルスもちょうど良かった。」
「校長。」
『どうしたんですかそんなに急いで。』
「A、すまない。
だが今から言うことをよく聞いて欲しい。
君の、アズカバン行きが決定した。」
『え、』
「馬鹿な！」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 227人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：maya.t | 作成日時：2021年3月21日 8時
