My Lord.6 (ページ36)

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小さい体でとにかく走った。

ただひたすらに暗い道を優勝杯目指して。

しばらくすると女性の悲鳴が聞こえ、
東の空に赤い花火が上がった。

また少しするともう一つの花火も遠くに見えた。

あれはビクトールか。

急がねば彼らに取られてしまう。

私が見つけたら、二人分のヴェルミリアスを上げる。

そして私一人で杯を掴み取る。

勘だけを頼りにここまで来たが、ついに見つけた。

宙に浮きながら青く光る優勝杯。

周りに誰もいないことを確認していると
ガサガサと急に後方の茂みが動き出した。

ハリーとセドリックがこちらに向かってくる。

全速力で駆けてくる二人は想像以上に速く、
Aは杖を抜く隙も与えられなかった。

(これじゃ間に合わない、、！)

仕方なく人の姿に戻り、彼らに背を向けた。

「誰だ！！」

「Aちゃん？」

そっと持ち手に触れると視界が歪む感覚。

あぁ、やはりポートキーじゃないか。

校長は何も分かってない。

彼らを危険に晒すくらいなら私が犠牲になる。

私は誰も見捨てない。

そう、、、一人でいい、、、。

放り投げられ痛みと共に目を覚ますと
そこは夢で見た墓地。

『やっぱり夢じゃなかったんだ。』

現実を受け止めて立ち上がると思いもよらぬ声が
後ろから聞こえてきた。

「ここ、、、？」

「大丈夫かハリー」

『、、、え？』

パッと振り返れば先程の二人が倒れていた。

『な！何でいるのよ！！』

「先生こそ！
　これはどういう事！？」

「ポートキーだったわけか。」

『はやくもう一回それを掴んで！
　二人は戻りなさい！！』

ハリーは周りを見渡し状況を理解した様子。

「Aちゃんも！！ここから出なきゃ！」

未だ理解できないセドリックは首を傾げる。

その刹那、ボッと目の前の大鍋に火が灯された。

Aは杖を構える。

「おやおや、もう一人客人が増えたか。」

奥から出てきたピーター・ペティグリューが
抱える毛布の中、その魂が笑いかける。

「誰だ！！！」

「邪魔者は殺せ。」

『やめろ！』

高笑いするピーターがセドリックに杖を向けた瞬間、
Aは彼の前に出て盾となった。

「アバダ、、」

「待てワームテール。」

小太りの男は動揺しつつも
言われるがまま杖を下ろした。

「A先生、、、。」

ハリーとセドリックは呆然として
動くことが出来なかった。