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結局運命を捻じ曲げることはできず当日の朝。
彼女はフクロウ小屋に向かっている。
昨晩のことはスネイプに伝えても
成す術がないと一蹴された。
気持ちは汲む素振りだったがダンブルドアの指示に
従うことしかできないと伝えられた。
『それでも守護者かよ、、、』
それならいっそハリーとセドリックを誘拐しようか
とも考えたが女一人で実行するには無謀すぎる。
小屋に到着すると胸元から小包を取り出し、
いつぞやの黒フクロウに見せた。
『ちょっと重いけど、近くだし行けるよね。』
ここに来る途中キッチンで貰った生肉を
皿ごと出すと、フクロウは嬉しそうに食べた。
『シリウスに宜しく。』
頭を撫でてやればフクロウはキィと満足そうに
一鳴きして小包を運んでいった。
大会の会場へと向かえばそこには既に大勢の観衆が
集まっていた。
Aはいつもの癖でスネイプの横に座る。
するといつもとは違い、彼は彼女の手を握ってきた。
『何！？』
誰からも見えぬよう真っ黒なローブの中で
強く握りしめてくる大きな手。
しかしこの行動にも魂胆があることを
彼女はすぐに察知した。
『そう、校長の差し金ね。
どうせ私の見張り役でも頼まれたんでしょう。』
「ふんっ。」
軽快な音楽と共に選手が入場してくると、
ダンブルドアが試合の説明を始める。
笑顔で抱き合うディゴリー親子。
その様子を見ていたAは
奥歯を強く噛み締めた。
「いいか余計なことをしてみろ。
貴様の首が飛ぶだけならまだしもダンブルドア
まで被害を被る。」
『うるさいわね、分かってる。』
「それでは開始する！ 3.2.」
“ドーン！！”
『だから上手くやるの。』
フィルチの放った号砲と共に彼女は
背を深く折り曲げた。
と同時に猫の姿へと変身し、スネイプの腿を
蹴り飛ばしながらフィールドへと降り立った。
「この！」
堪らず杖を構えた彼だったが時すでに遅し。
彼女はハリーの後、閉じかけている茂みめがけて
一目散に駆け抜ける。
バサリと全ての道が閉じると会場は騒ついた。
口々に出るのはAについて。
“後ろから何か入っていかなかった？”
“猫か？イタチか？”
ダンブルドアとムーディーがひそひそと話す中、
スネイプも段を降りてその会話に参加した。
「そもそも関係者以外は入れないはずでは。」
「あぁその通りだとも。
いらん“人間”は弾き飛ばされるようになっとる。」
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作者名：maya.t | 作成日時：2021年3月21日 8時
