My Lord.6 (ページ4)

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翌朝目が覚めると横に彼はいた。

腕枕をされている頭を少しだけ上げて
時計を見れば8時過ぎ、
そして彼はまだ眠っているようだ。

寝ていても眉間に少し皺が寄っている。

彼女は気怠い体に昨晩のことを思い出しながら
彼を見つめていた。

(わたしたち、、、)

セブルスはとても紳士的だった。

と言っても彼女が他に男性を知らないだけで
比較対象もいないのだが。

壊れ物を扱うかのように優しく気遣ってくれた。

何だか思い出すだけで顔から火が出そうだ。

彼の顔を見てられなくて背を向けるように
寝返りを打つと、
逃がさないとでも言うかのように後ろから
抱きしめられた。

『セブルス起きてたの？』

「ん、」

どうやらこの様子ではこの拍子に起きたらしい。

薄く目を開けて時刻を彼女に聞いた。

「何時だ。」

『8時半。』

「そうか。」

再び目を瞑りギュッと彼女を引き寄せる。

素肌と素肌の擦れ合う感覚が擽ったい。

「あと5分したら起こしてくれ。」

『予定はないし休暇くらい心置きなく寝ていいよ。』

「駄目だAとの時間が、
　買い物行こう、」

『え？』

セブルスは答えぬまま再びまどろみに落ちていった。

もしかして一瞬可愛い素のセブルスが出てきた？
とテンションが上がっていると自信に巻きつけられた
彼の腕が目に入る。

意外にも逞しいその腕には消えることのない“印”が。

一度刻まれてしまえば自らの意思とは関係なく
招集され、使えないと判断されれば殺される。

恐ろしくもあるがこれもまた彼の生き抜いてきた証。

どことなく否定はできない。

でも願わくば、こんなものが使われる日など
二度と来なければいいと思う。

彼を起こさぬよう布団から抜け出すと
落ちている洋服を回収し、朝食を作りに降りた。

こっそり新婚気分でセブルスの代わりに
ポストから新聞を取ってみる。

『今日だったかぁ。』

目に入ったのはクィディッチワールドカップの文字。

ハリー達が楽しみだと言っていた試合は
今夜開催されることになっていた。

今頃テント周りは沢山の応援団でお祭り騒ぎだろう。

『楽しそう、いいな。』

そう呟いて新聞をテーブルに置いた。

髪を結いキッチンへと向かう。

休むことなく稼働する工場のせいで常に空には
灰色の煙が流れている。

Aはヤカンに火をかけながら窓の外を眺めた。

青空の端にある煙突、そんなもので
自分は何故幸せを感じているのか
分からなかった。