...230 ページ30
「A、無事かの？
どこに行っていたのじゃ？」
彼女が遅れて到着するとダンブルドアが尋ねる。
『フクロウ小屋に寄っていました。』
これが、と持っていた封筒を掲げる。
「そうか、それならよいのじゃ。
バーティの件については重く受け止める。
トーナメントの中止も視野に入れてこれから
来るコーネリウスと議論するつもりだ。
生徒にはくれぐれも動揺を与えるでないぞ。
当面の間、外出も禁ずる。」
校長は特に4人の寮監の目を見ながら伝えた。
君たちが生徒に上手く説明しろ、という暗黙の了解。
その場は解散となりダンブルドアはムーディーと
校長室へ帰っていった。
その淡々としたテンポについて行けずぽかんと
その様子を見ていたら隣から声をかけられた。
「しっかりしなさい。」
『あ、ごめんなさいミネルバ。』
「みんなあなたのことを心配していたのですよ。
ただでさえ物騒な事が起きたのですから。
もっと教師の自覚を持って行動しなさい。」
『はぁい。』
「では、私は寮に戻って皆に知らせますから。」
スタスタと廊下を歩いて行く背中を見ても
彼女の思考は大して働かなかった。
『教師の自覚ってなんぞや、
私は私で頑張ってるつもりなんだけどな。』
Aは一人取り残された廊下を歩きながら
考えを巡らせた。
あの様子じゃマッドアイは魔法大臣と校長との
討議に参加するのだろう。
闇の魔術を第一線で見てきており、
何かと実践経験が豊富だからだろう。
校長からの信頼も随分厚そうだ。
やはり父からの手紙の通り、彼を疑うのは
単に自分の考えすぎなのだろうかと思ってしまう。
しかしあのゴツゴツとした杖にギョロリと
飛び出た義眼。
この世のものとは思えない液体をいつも飲んでいる。
全く、自分なら彼の素性を知ってもなお
近づきたくはないと思ってしまう。
ん、？
液体。
ムーディーは必ず毎時間飲んでいないか？
常に隣にいるわけではないが数時間単位で
作業を手伝う際、
必ず１時間ごとに休憩と称して飲んでいた。
中身を聞いてもはぐらかされる始末。
少し考えてみれば
毎時間飲まなきゃいけない薬など一つしかない。
それは助手でありながらも薬学の道を辿る者に
とっては簡単すぎる問題だった。
近頃のポリジュース薬窃盗についても説明がつく。
しかしまだ確固たる証拠はない。
そして、変身しているあの男の正体は？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 227人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：maya.t | 作成日時：2021年3月21日 8時
