My Lord.6 (ページ23)

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分かっていた。

けれど心に蓋をして過ごすしかなかった。

スネイプと喧嘩してから今日まで何をしても
楽しくなくて、何かに没頭していないと
心が押しつぶされそうだった。

こんなに近くにいるのに気持ちは遠くて。

彼の心の内なんて知る由もなくて。

あの休暇の出来事は本当に夢幻だったのでは
ないかと思うほどに城での距離感に
打ちのめされていた。

『う、うぅ、、、。』

本当に大人気ない。

自分だって本当はパーティーに参加したかった。

素敵なドレスなんか着なくたっていい、
ただみんなと同じ空間に酔いしれたかった。

貴方の隣にいれればそれでよかった。

しかし、彼に話す時間は沢山あったにも関わらず
行動に移さなかったのは自分。

今更隣に立つだなんてばつが悪すぎる。

遠くから優雅なワルツが聞こえてきた。

代表生徒のダンスが始まったのだろう。

セブルスはもう会場に着いているだろうか。

その装飾をどう感じるだろうか。

どう物事が進んでもスネイプを想わせる起爆剤にしか
ならず、依然彼女は机に突っ伏して泣いていた。

そして先程のフレッドの言葉を思い出していた。

“Aちゃん、踊らないつもりなんだろう。
　何があったか知らないけど俺たちはいつも
　Aちゃんの味方だから。
　いつか絶対にドレス姿見るまでは諦めないよ！”

『ばかだなぁもう、、、。』

両手で顔を覆いながら微かに笑みが溢れると、
不意に後ろから低い声がした。

「誰が馬鹿だ。」

はっ、

バタンと椅子を倒しながら振り向けばそこには
会いたくて仕方なかった彼の姿。

いつものローブは身につけておらず、
新品の濃紺服に袖を通したスネイプは
後ろで手を組んでいる。

『なんで、、、』

「放っておけるわけないだろう。」

そう言って手を差し出した。

彼女が目を擦りながら近づけばその
大きな腕に優しく包まれた。

久しぶりの温もりに涙が次から次へと流れ出る。

何も言わず頭を撫でる彼はやっぱり大人で、
たまらずギュッと抱きつく。

『セブルス、ごめんね。』

「私も少し言いすぎた。」

『“少し”ね。』

彼女が落ち着くと二人は離れる。

「それじゃ行くぞ。」

スネイプが彼女の腕を引っ張って部屋を出た。

『ちょ、ちょっと！どこに！？』

黙って彼の後ろを着いていくとたどり着いたのは
いつぞや入ったことのある古い屋敷。

そう、ここは叫の屋敷だ。