My Lord.6 (ページ15)

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選手は4人ともドラゴンから金の卵を
持ち帰ることに成功した。

そしてその中には次の課題のヒントが
隠されているとのことだった。

次の課題まではしばらく間が開く。

Aがいつものように魔法薬学の準備室、
別名“強力魔法薬備蓄倉庫”にて作業していると
またも数種類の原料が消えていることに気づいた。

ここは普段鍵がかけられているので絶対に生徒が
開けることのできない場所だ。

『ニワヤナギにクサカゲロウ、それにまた
　毒ツル蛇の皮がない。』

それだけでこの窃盗犯が何を作らんとするかは
簡単に想像できた。

スネイプに報告するため部屋の鍵を閉めたAは
教室へ向かおうと振り向いた。

『わっ！！！』

しかしいつからいたのか目の前には
アラスター・ムーディーが立っていた。

『脅かさないでくださいよ！！！』

「はっはっは！すまんかったな！！！
　どうもお前さんが浮かない顔をしてたもんでな！」

『そうなんですよ、最近原料の盗難が多くて。』

すると義眼をギョロリと大きく回した彼は
興味津々でその内容について質問してきた。

「ほう、それはどんな材料だ？
　くすねた生徒を見つけたらこの俺が
　とっ捕まえてやるぞ！！」

『いやいや大丈夫ですよ。
　この件はスネイプ教授にしかお任せできません。』

スネイプ以外の人に気安く魔法薬の情報を与えるのは
躊躇われたので、やんわりと断った。

「そうか？
　あんな腰抜けより俺の方が頼り甲斐あると
　思うけどな？」

『もちろんムーディー教授のことも
　信頼していますよ！』

ここでAは先日彼から言われた言葉を
思い出した。

『あの、一つお伺いしてもいいですか？』

「おう構わんが。」

『この前私に会いたかったって言ってましたよね？
　何でかなって思って。』

大男は杖に寄りかかりながらしばし考えている様子。

彼女がやっぱり聞くのをやめようかと口を開いた
矢先、ムーディーの方が喋り出した。

「嬢ちゃんは、例のあの人が復活すると思うか？」

『え、何でそんなこと、、、。』

突拍子もない返しにAはたじろいだ。

「君の選択で未来が変わるとしたら、
　どうだ、世界は君のものみたいじゃないか？」

『はぁ？』

全く意味不明で理解不能なその言葉に
彼女はひどく呆れた。

この男の頭はその目同様にいかれていて、
はなからAと真面目な会話をする気など
無かったに違いない。

彼女はその場から走り去った。