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緊張に次ぐ緊張でご飯の味もしなかった。
スネイプは初めてのAの手料理に
「予想よりも美味かった」の一言で終わらせて
呑気にソファでラジオを聴いている。
Aは杖を振り食器を洗いながら
未だに煩悶していた。
サラッとあんなこと言ってしまう彼は
死喰人時代にはそれなりに男女の付き合いが
あったのだろうか。
当然こちらはこの年になっても
全てが初めてな訳であって。
余裕もクソもないうぶちゃんであることを
恥ずかしく思った。
『はぁー、』
食器も洗い終えスネイプの隣に座ると
彼にもたれ頭を預けた。
「お前は本当に分かりやすいやつだ。」
スネイプは彼女の肩に腕を回す。
『だって、セブルスが大人に見える。
普段は意地悪で誰に対しても興味なさそうなのに。
私ばっかり何か置いてけぼりみたいで、、。』
「ここは私の家なのだから
自由に振る舞っているだけだ。
お前も仕事の立場は捨てて
くつろいでくれてよい。
もし怖いなら、拒めばいい。」
私もずっと抑えてきたのだ、ここでくらい
好きに振る舞わせてくれ。
そう言って抱きしめる彼は実に本能的で、
普段見せることのないその顔を愛おしくも思えた。
『すき』
彼女も抱きしめ返す。
たくましい腕に包まれ
これ以上のない幸せを感じる。
分かってるよ、貴方の心のどこか、多分中心に
いるのは
きっと天秤にかけられたら遥かに軽いのが私。
嫉妬しないと言えば嘘になるけど
それでも貴方を選んだのも私。
いつか貴方からの本物の愛が私一人に
注がれる日が来るなら、
その希望が1ミリでもあるなら、
こうしていつまでも隣にいたい。
こんな狡い女を許して。
今は目の前にある幸せだけでいい。
こんな気持ちも聞こえてるんでしょ、教授。
貴方はなんでもお見通しだものね。
体を離すとAは笑顔でシャワーに行く。
『じゃ！先お風呂借りますよ！』
「あぁそこ右だ。
タオルとかは適当に使ってくれて構わん。」
のぼせるほどの熱いシャワーで邪念を振り落とす。
彼氏の家で過ごす初めての夜だ。
あちらもこちらもいい大人。
緊張しながらも風呂を出て、
今度はセブルスが風呂を出るまで彼の部屋の
ベッドに横になった。
薄暗いランプの中適当に取った本を読んでいれば
ガチャリとドアが開けられパジャマ姿の
セブルスが入ってきた。
「随分と温度上げるんだな、シャワー。」
『まぁね。』
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作者名：maya.t | 作成日時：2021年3月21日 8時
