My Lord.2 (ページ28)

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「アクシオ！！！」

大広間で答案用紙を集めるフリットウィック教授の
元に生徒らの机から羊皮紙が束になって
一斉に飛んでいく。

反動で吹っ飛ばされた教授を見てAも
他の生徒同様に笑ってしまった。

AにとってのO.W.L.試験は
この闇の魔術に対する防衛術の試験によって
全て終わった。

この教科については日頃から自信しかなかったので、
前日の夜から今朝にかけて
スネイプと食べる用のサンドイッチを仕込んでいた。

実際に試験自体もAが予想した通りの
問題範囲だったので、
できる限り詳しく答案用紙に書き込んだ。

そんな中第10問目、“狼人間を見分ける5つの
兆候を挙げよ。”という問題ではだいぶ前の方に
座るリーマスを見た。

本人は頭を掻きながら真面目に回答している
ようだったが、周りに座るポッターとシリウスは
問題に気づきニヤニヤしているようだった。

Aは試験が終わって出て行こうとする
スネイプの背中を追い、大広間を出たところで
追いついて話しかけた。

『スネイプ君お疲れ様。』

彼はまだ問題用紙に目を通しており
横目でAを確認するとまた視線を紙に戻す。

「ちゃんと持ってこい。」

相変わらず彼女の方を見ず、ぶっきらぼうに話す。

『え！覚えててくれたの！
　てっきりスネイプ君私とご飯食べるの
　忘れてるかと思って伝えに来たんだよ。』

試験終わりで多少の疲れがあるのかAを
無視して歩き出す。

『じゃあ持ってくからねー！』

スネイプの後ろ姿を見送りつつAは
走って部屋まで戻り、二人分のサンドイッチを
完成させて湖へとまた走り出す。

やっとの思いで湖のほとりに到着すると
奥の方に人だかりができていた。

「えっ、」

Aが近づいてみるとその中心では
悪戯仕掛け人4人とスネイプが対峙していた。

しかもスネイプに至っては苦しそうに地面に手をつき
這っているような形だった。

周りの生徒の数人はその光景を見て笑っている。

「スコージファイ！」

ポッターの杖から放たれた呪文により
スネイプはさらに苦しそうに泡を吐きながら咽せる。

Aは憤慨し彼らを止めるため
走り出そうとすると、

「やめなさい！！！！」

という声と共に彼女が現れた。

美しい赤毛に緑色の瞳。

リリー・エバンズだった。