SS置き場

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甘え方 -ﾌﾞﾙｯｸ-【OP】ページ1

目の前で仲間が飛ばされていく。
奏でる音が一つ、また一つと消えていく。

「待って。待ってください!私をどうか＿＿』

ハッとして目が覚めた。伸ばされた右手は空虚に宙を掴もうとしていた。
しっとりと、不快な感覚に思わず顔をしかめる。
(参りましたね......)
眠気はもう来そうになく、寝息が漂う中を通り抜けふらりと甲板にあがる。
生憎の雨だったが彼はそのまま雨に打たれ続けた。

ーーーー

「ぶえっくしょい!!!」
「全く、なんでガイコツのお前が風邪引くんだよ」

ううう、と鼻水を啜りながら毛布にくるまっているブルックにサンジはやれやれとため息をつきながら栄養満点スープを手渡した。

「ありがとうございます」
「チョッパーいわく安静にしてれば大丈夫だとよ」
「そうですか。風邪引くなんて何十年ぶりでしょうね」

天井を見上げ、ふと昨日の夢を思い出す。

「おい、どうした?スープ飲めないか」
「いえ、その......」

もったいぶる彼にサンジは眉をひそめた。

「昨日何があったんだよ。お前らしくないぜ、ブルック」
「ちょっといいですか」
「ん?」

ーーーー

バタバタと足音が騒がしくなる。全員が甲板に集まった。

「ブルック、お前無茶しちゃダメだぞ！」
「大丈夫ですよチョッパーさん。それに私はこの方がよっぽど休まります」
「何だよブルック、お前もう元気なのか」

我先にと特等席を陣取った船長が嬉しそうに言った。

「心配をかけましたね。お詫びと言ってはアレですがバイオリンを奏でましょうか」
「いいじゃねえか!」

軽やかに楽しい狂想曲(ラプソディ)に身を包み、ひたすらに奏で続けた。時には船大工のギターとセッションして、ただひたすらに悪夢を追い払うように。
仲間の笑い声が心を満たしていく。
その宴は一日中続いた。
楽しく仲間と共に過ごす。
なんともない、だがかけがえのない日々をより感じるための彼なりの甘え方。