AM8：00、 (ページ8)

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ep.8 ページ8

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「ハアー－－、重っ」

遡ること１０分前

6限が終わり、少し息をついていると

『加藤さん、呼ばれてるで』

ぱっと前を向くと、日直ー！といつの間にか、英語の先生と入れ替わっていた川尻先生が叫んでいる

黒板に目を移すと、日直の欄には加藤と書かれていて、やっと自分のことを呼んでいると気付いた

「わ、ごめん、ありがとう」

声を掛けてくれた川西くんにお礼をして先生の元へと向かった

まあ、案の定「ごめんねえ、これ明日の授業で使うんやけど先生この後会議で...ちょっとホチキスぱちぱちしてくれん？」と雑用を押し付けられる始末

ホチキスぱちぱちって言い方かわいいけど...

「先生、この量女の子に持たすの鬼！」

なんてぶつぶつ言いながら自分の席に戻る

あかりに手伝ってー！と懇願したら呆気なく、バイトだからと断られた

周りに誰もいないからとスピーカーのまま音楽をかけてホチキス止めに専念する

『...音でかない？』

急に背後から聞こえた声に、心臓が止まりそうになるくらいびっくりする

振り返れば、私の驚いた姿に笑っているのか口元を抑えた川西くんが立っていた

『ごめん、驚かせるつもりはなかってんけど』

「ほんっとにびっくりした、やめてよ」

『でっかい音で音楽聞こえてきたから誰や、と思って』

その音楽階段の方まで聞こえてたで、とまだ肩を震わせている

『なにしてるん？』

「川尻先生にお手伝い頼まれて、雑用」

ふーん、なんて興味なさそうな声が聞こえて

まあ興味ないか、とまた作業に戻る

「...え？」

ガタっと椅子の引く音が聞こえて、思わず漏れた声

『いや、俺もやろうかなって』

「いやいや、悪いよ、てか部活は？」

『もうテスト期間はいるし、今日はミーティングだけやって』

「そう、なんだ」

ガサっと紙の束を持って行って「これとこれ止めればいいやんな？」と聞く川西くんに小さくうなずいて、そのまま自分の手元に視線を落とす

予期しない距離の近さと優しさに赤くなる顔がばれませんようにと願って

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