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「ここだ。これ以上先からは気分が悪くなるのだ。」
そう妖は嘆くが、別に御札も貼られていないし、結界の気配もない。
ただ自然がそこに広がっているだけだった。
端的に言って、面倒になった。
私は今、八ツ原の森にいる。
気まぐれでいつもしない『良いこと』をするもんじゃない。
誰かのおせっかいが写ったのかもしれないと思う。
「この先に家がある。それをもってこい。」
まさか妖に顎で使われる日が来るとは。
「…なんで私が。」
「仕方がないだろ、私が人に憑くのは困ると、お前が言うんだからな。私は自宅に帰れれば何も悪さはしない。」
腕を組んで、さあ早くと急かす妖。
それを見ているとさっきからずっとある考えが頭の中をいきかっていた。
最近はそれをやめて、調べる対象を人間にしていた。
だけど、こいつは家を持ってきてほしいと願っている。
実行するための条件は、十分に満たされていた。
「あぁ、そういえば、言い忘れていた。」
妖はなにも怪しむ様子なく私に話しかける。
その純粋無垢であろう声は私の宿悪にブレーキをかけた。
何事もなかったかのように、いや実際何事も起こしてはいないが、とにかくそのように私は一言、なんだ、と問いかけた。
「私はカギザ。家はあの小僧の家の中にある桐箪笥だ。じゃあ、頼んだぞ、人間。」
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うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になっています この作品はもう更新されないのでしょうか? (2020年10月22日 7時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
ふりかけ旨し - なんですかこの物語。好き(( (2019年4月8日 13時) (レス) id: e39bf45103 (このIDを非表示/違反報告)
夏猫 - とっても面白かったです!とても続き楽しみです!更新頑張ってください! (2018年6月2日 13時) (レス) id: a26082a895 (このIDを非表示/違反報告)
零斗 - 面白かったです!続き、楽しみにしてます! (2018年3月24日 15時) (レス) id: 48fec663c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2018年2月6日 20時