【夏目友人帳】油揚げを添えよう~弐~

日は変わる ページ17

主人公side

覚醒してない体で部屋の中で鳴る音に意識を向ける。

それはどうやら私に朝が来たと伝えている。

朝が来た。

朝が来たなら起きなければいけない。

頭ではわかっているが数時間も閉ざされたまぶたは重く、開けることは困難であった。

まぶたの裏側を数分眺めると、だんだんそこに自然が浮かんできた。

森の中だろうか、木々が混沌と生えている。

どこかで鳥が鳴いているかもしれない。

軽やかなその声は段々と空へ近づいていく。

雲までたどり着けば目下には木々の頭が並んでいる。

すこし遠くを見通すと今度は人工物が混沌とした部分が存在していた。

ああ、あの中に彼らがいるのだ。

彼らは人工物に囲まれ、すべて区画化されたそこで規律通りに生活を送る。

だから彼らは窮屈から逃げたくて、約束を捨てたのだ。

約束に囲われない、自由な生活を送るために。

そのためにたくさんの約束を捨てたのだ。

捨てられた約束は少しずつその形を消していく。

その形が消えるごとに彼らを縛るものがなくなっていく。

捨てられた約束たちは彼らの自由の犠牲になる。

だけどそれでいいと約束たちは言ったのだ。

彼らもそれを望んだのだ。

彼らも。

彼ら。

彼らって…









「おい起きろと言ってるだろA！！！！！！！！！」

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す