二匹ばかりの猫とその偶然性 ページ1
・
(京極side)
『きょーごくさん』
「なあに」
『それはそれは酔ってもた』
「見ればわかる」
大所帯での飲み会、誰からも好かれている彼女は着いた途端離れていく。常に誰かと話してケラケラと笑う姿を横目に飲むのが俺のお決まり。
でも酔った時は俺に擦り寄ってきて甘えてくる、猫みたいなやつ。
『今日おうち行っていい?』
「ええよ」
『ふふ、ありがと』
「酔った時の破壊力えぐいんやから、あんまそんな顔したあかんで?」
『ん、わかってる』
「ほんまに分かってんの」
『分かってるからいつもあなたのとこに帰ってくるんでしょ』
ふらふらしてるくせにこんな時はしっかり俺の顔を見つめてくる。猫好きの気持ちが分からんでもないな。
「はー、あかん」
『なんかさ、京極さんって捨て猫みたいですよね』
「どこが?」
完全にこっちのセリフ。まあたまに言われるけど。
『わたしが他の人と楽しく話してたら気にするくせに、近くに来たら知らないふりするとこ』
「、バレてた?」
『もう好き同士なんだから、素直になりましょ』
「生意気なやつ」
舌を出してふざけた表情を作る、その生意気な顔にキスをした。
『、見られたらどうするんですか』
「別にええやろ、隠さなあかん関係でもないし」
『はー、やっぱ勝てないわ』
「なにが?」
『まだ酔ってないけど、京極さんのことばっかり考えちゃって、こっち来たの』
さっきまで自由きままに見えた猫が、頬を染めて白状するから流石に我慢出来なくなった。
早く家帰ってめちゃくちゃ抱く。
『え、急にどうしたんですか』
「帰る」
『もう?』
「用事できたから、早く一緒に帰んで」
『用事ってなに』
穢れを知らない無垢な瞳を向けられて思う。俺色に染めてしまおう、だなんて普段の俺だったら反吐が出るような言葉。
「帰ったらめちゃくちゃ抱いていい?」
『、あかん』
耳打ちした途端真っ赤な顔になるA。可愛いやつ。
やっぱりあかんわ、こんな可愛いところ他の奴に見せられん。
半ば強引に彼女の手を引っ張って帰路につく。
「どうせ猫ちゃんなんやから、もう放し飼いすんのやめよかな」
『なんの話ですか』
「なんでもええやん、ほら手つなご」
『やっぱ京極さんが猫ですよ、なんも考えてること分からんもん』
俺の考えてることなんて君には分からなくていい。
まだ幼さの抜けない表情で俺を見つめる彼女に、少しの微笑みを返した。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 554人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みら(プロフ) - しろさん» 理想通りすぎました…😭💗 ありがとうございました😽💞 (3月18日 18時) (
レス) @page24 id: 2f2253edcf (このIDを非表示/違反報告)
しろ(プロフ) - みらさん» リクエスト書かせていただきました! 今回もありがとうございます☺️☺️ (3月17日 21時) (レス) id: 04cbf0a3ac (このIDを非表示/違反報告)
みら(プロフ) - またまたリクエスト失礼します…❕ �眸耄�ｻﾝのお話で関西人で同期っていう設定（？）のお話がみたいです😿♡ ちなみにお付き合いはしてないけど距離が近めな設定だとうれしいです😭💗 (3月14日 13時) (レス) id: 2f2253edcf (このIDを非表示/違反報告)
みら(プロフ) - しろさん» いやめっちゃめちゃ理想通りで最高でした😭♡ ありがとうございます😿💗 (3月13日 10時) (レス) @page23 id: 2f2253edcf (このIDを非表示/違反報告)
しろ(プロフ) - らんさん» DMすごく嬉しいので、図々しいなんてことないです☺️ 忙しく更新にかける時間がないのでたくさんお待たせしてしまうとは思いますが、これからも読んでいただけたら幸いです🫶🏻🫶🏻 (3月12日 22時) (レス) id: 04cbf0a3ac (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しろ | 作成日時：2024年1月23日 0時
