君と送る徒然草～日常編～第３章 (ページ6)

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あなたが生まれた日5 ページ6

どこか棘のあるﾙﾊﾝの言葉にﾏﾝﾈが噛み付こうとするのを他所にぽつりとAが呟く、小さくなって座るAの横ではﾀｵが手を握っていた

Kr「…どういうことだ？それは誕生日を祝ったことがないことに関わりがあるのか？」
Ch「ちょ、パーティーとまでいかなくても流石に祝ったことはあるでしょ？」

『…ない。』

Ki「…え？？」

『…事務所は誕生日については公開するつもりだったはず…俺が、非公開でお願いしたの。』
Ly「どうして？お祝い、されたくなかったの？？」
Xi「…俺達は、Aの誕生日をお祝いしたかったんだ、今日初めてみんなで祝えることを楽しみにしてた。…でも、お前にとっては迷惑だったのか？？」
Ta「っそ、そんなこと！ないよね！？」

少しずつ凍り付く空気に、皆の表情は厳しくなっていく
だが俯いたAは何かと葛藤しているような瞳をしていることに、メンバーは気が付いていた

長い沈黙が場を支配する、だが誰も先を急かそうとはしない

『……』

ふと、前を向いたAはメンバーの目がそれでも優しげな光を灯していることに気付いてひとつ、息をついた

『…迷惑なんて、思わない…けど、…誕生日と言うものに、ちょっとトラウマがあって…、どう反応をしたらいいのかもわからない、から…
いっそ設定に乗っかって…非公開にしていた方がいいかと思ったんだ…ごめん』

ぽつぽつと話し出すAの周りに少しずつメンバーが近寄る
厳しそうな表情は消え、心配そうなメンバーを見てAは少し瞳を細めた

『おれ家庭環境は、…前に話したよね、毎年盛大に誕生日パーティーは開かれてた。見たこともない大人と一緒ではあったけど…その日だけはずっと仮親達も側にいてくれたから、おれも嬉しかったよ…でも、』
Cy「え、でもさっき」
『うん、でもそれは、５月１日じゃない』

「「「……え？？？」」」

『祝っていた日は……おれが身代りになっていた本当のご子息の誕生日だ』

「「「！？？？」」」

少しだけ笑みを浮かべたAの声はどこまでもクリアに響いて、脳に染み渡るみたいだった

『前の家とさよならをする日、おれの本当の誕生日を初めて知った、…そのときだけは少し…恨みそうになったよ
ずっとお祝いしてたのは、おれの、ため何かじゃなかった。』

Ly「…っ！」
Bk「…んだ、よそれ…！」
Ta「…っ…」

メンバーの顔が刹那怒りに満ちていく
それを見ながら淡々と話すAの表情だけが、すっぽりと抜け落ちていた