昼寝日和 Le(vixx) ページ23
Le「…疲れてない？」
『へいき、…ﾋｮﾝ、一杯買ったねぇ…』
Le「…、た、たまたま」
殆ど荷物の無いAと対照的にﾃｸﾞﾝの隣にはショップ袋で溢れていた
久々に買い物に来たせいでもあるが、Aが似合うと言ってくれるのが嬉しくて言われるがままについ買いすぎたことは黙っていよう
一息つくためにカフェで珈琲を飲んでいると、ふとAが外に目を向けた
『…』
Le「…？チューリップ、か？」
『…うん、綺麗だね…』
Le「…そういえば、聞こうと思っていたんだが…」
『、ん？？』
Le「…Aは、どうして鈴蘭が好きなんだ？」
『…ああ、マスターに聞いたの？』
Le「ん、…まさか本当に鈴蘭を見に来るお前に会えるとは思わなかった」
Aが毎年時期の限られるその花を見に来るかもしれない、そんなマスターの推測を頼りにして待ったあの日
好きに理由がいるわけではないが…再会したあの時嬉しそうに、少し寂しそうに鈴蘭を眺める彼に何か引っ掛かっていたのをふと思い出したのだ
『…んー…』
Le「…」
『…何も意味が無いと思っていた日に、意味を与えたくれた花だから…かな？』
Le「…？？鈴蘭の日、だろ？」
『…ふふ、うん、マスターに聞いた？フランスではその日、大切な人に鈴蘭を贈るんだ…小さい子から大人まで…その日に鈴蘭を貰うと幸せになれるんだって』
Le「…へぇ、確か花言葉も幸福の再来…だったか」
『よく覚えてたね…うんそう、あと希望、純粋な気持ち。…ちょっとだけ、いつかはって…思ったから、かな…』
Le「…どういう意味だ？」
Aはそっと笑うだけでそれ以上は教えてくれなかった
少しだけ陰鬱とした影を灯す瞳に何故か深くは聞けず、話はそこで途切れた
その日が彼にとって複雑な柵のある誕生日であることを…俺は、後に知るのだけれど
『…あ、』
Le「…あ」
暫く談笑しているとAは急に空を見上げ、釣られるように視線を上げるとぽつりと滴が見えた
瞬く間に雫は大粒の雨に変わっていく
『…ありゃ、降ってきたねぇ…』
Le「…すごいな、」
バケツをひっくり返したような急な襲来に通りを歩いていた人々は慌てて建物へ逃げ込んでいく
「もーびしょびしょ！」
「…え！あれ…って」
「え…も、もしかして！？」
「『…』」
俺達のいたカフェも例外でなく店の中の人口はあっという間に増えた
同時に紛れていたらしいファンに見つかり
無言で顔を見合わせた二人は雨の中飛び出す羽目になってしまったのだった
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作者名：奏 | 作成日時：2017年5月1日 16時
